1)痴呆症の症状 痴呆症と「正常物忘れ」の違い
<質問1> 痴呆症の初期から出る物忘れは つぎのどれか?
@日付をすぐに思い出せない A人の名前を思い出せない
B体験の全体を忘れる (正解:B )
<説明> A病的物忘れ(痴呆症による)と B「生理的物忘れ」(生理的老化による)の違い
A:体験全体を忘れる・最近の出来事を忘れる・失念を自覚しない・見当識障害
B:一部を忘れる・名前や日付など一時的に忘れるが後で思い出せる・自覚している
<記憶の構造と障害> 記銘・・・保持・・・想起・・・
(2)痴呆症状(記憶障害・見当識障害・判断の障害など知能の障害)を来たす病気は、
アルツハイマ−型痴呆症(アルツハイマ−)・脳血管性痴呆が多いわけですが、 プリオン病・
アルコール中毒・ビタミン欠乏症など、他にも原因は沢山あります。
<質問2>さらに以下のどれが痴呆症状をきたすのか?
@うつ病 Aバセドウ氏病 B慢性硬膜下出血(外傷性)
(正解:A 甲状腺機能”低下”症が、痴呆症の原因となりうる)
(3)アルツハイマ−の初期症状
アルツハイマ−の病期は、初期・中期・末期とわけられる。
<質問3> 初期に家族が気づく痴呆性変化でないのはどれか
@人の名前を忘れる A置き忘れやしまい忘れが多くなる
B同じ事を言ったり、聞いたりする (正解: @)
<説明>{初期 中期 末期}
見当識障害は 時(初期)・場所(中期)・人(末期)の順で悪化
記憶障害は、近時記憶障害(初期)から出てくる、遠隔記憶障害は、遅れて出てくる(中期)。
(4)アルツハイマ−の原因
血管性痴呆の原因は脳血管障害であるが、アルツハイマ−の原因は未だ解っていないが、
発症に関わる関連因子は、多数指摘されている。
<質問4>アルツハイマ−の発症に関連する因子でないもの
@高脂血症 A頭部外傷 Bアルミニウム (正解:@)
<説明> 女性に多い・遺伝・頭部外傷・アルミニウム
遺伝子:早期発症家族性AD(βPP PS1 PS2) −発症につながる
弧発性AD( ApoE4 α2M )−−−−危険性につながる遺伝子
(5)痴呆症の診断
痴呆症の診断には、痴呆をきたす他の疾患との鑑別が必要だが、そのために検査が行われる。
<質問5>痴呆症を診断する上で、最も重要な検査は?
@知能評価検査(長谷川テストなど) A血液検査(コレステロール・
血糖など) B画像検査:CT、MRI、SPEC (正解: @ )
<説明>
@知能評価検査:長谷川テスト(HDS−R)、MMT、
A画像検査:CT、MRI、 脳血管性痴呆などとの区別に重要
アルツハイマー:頭頂葉から側頭葉に血流障害 脳血管性:前頭葉
B甲状腺疾患・薬中毒・脳血管障害の原因検索など
(6)痴呆症の予防
アルツハイマーの原因は未だに不明なので、確実に予防できる方法は
無いが、少しでも効果が期待できるものや、脳血管障害の予防につなが
ることは重要である。
<質問6>痴呆症の予防につながることが期待できることは
@カロリー制限が一番大事である。 A痴呆の予防には、喫煙がかえって良いとの説がある
B緑黄色野菜を十分にとること。 (正解:B)
<説明>@アルミニウムを減らす
Aフリーラジカル・活性酸素:老化促進因子を減らす−−禁煙
B脳血管障害の予防 高血圧・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症・禁煙・節酒・運動
C健康な生活:健康な食事・適度な運動・脳を使うこと・趣味
魚1回/日・緑黄色野菜2回/日・果物2回/日
(7)痴呆症の看護
<質問7>痴呆性老人の看護で適切なのはどれか。
@生活環境を変える A知的活動を促す B事実誤認を訂正する
(正解:A 85回看護婦国試) |