問1 インフルエンザの<名前の誕生>は?
 流行する感冒の歴史は2500年前から記録されているが、インフルエンザと
命名されたのはいつ?   


正答:@14世紀 イタリアのフィレンツェで使われ出した。”寒い天気の影響”(インフルエンス)と言う意味。
 @ ”infuluence”=影響 寒い天気の影響 星の影響 17世紀イギリス
でも星から吹きつけられてきた突風(flow)によるもの

 Aインフルエンザ菌--気管支炎や肺炎をおこす細菌でインフルエンザウイルスとは全く別物で、抗生物質が効く。
 Bウイルスが発見されてきたのは 20世紀のことだが、命名は14世紀から

質問2 <インフルエンザの特徴は> ”突然 38度以上の高熱が出る”ことですが、
それに加えてインフルエンザを疑わせる症状は?


正答:B筋肉痛、だるさ、頭痛など全身症状が強いこと
 @パラインフルエンザ感染症の症状---クル−プが多い
 Aロタウイルス・アデノウイルス感染症の症状 
 Bインフルエンザを疑ったら 早期受診 早期診断 早期治療を! 

質問3 インフルエンザが<なぜ怖い>のか? 
大流行しやすいことと 重大な被害を及ぼすのは次のどれ?


正答:A高齢者や抵抗力のない人に、肺炎を起こしやすく、入院患者さんや死亡者が増加する。
 @脳炎になるのは、乳幼児である。痴呆・寝たきりの最大の原因は生活習慣病。 

 A感染力が強く、大流行しやすく、高齢者や抵抗力の弱い人に重大な被害を及ぼす
 1)高齢者の肺炎合併率は25%になるとの報告あり。
   高齢者のインフルエンザ肺炎の死亡率は、なんと20-30数%!

   <インフルエンザ肺炎・3つのタイプ>
・インフルエンザ肺炎(解熱する3-4日後も熱が続いて咳・痰が激しくなる)
・インフルエンザ後二次性細菌性肺炎(一度解熱した後、再びは発熱・咳・痰などでる)
・電撃性インフルエンザ肺炎(発症後数日で肺炎になり1−2日で死亡する)

 2)高齢者の「超過死亡現象」が認められる。インフルエンザが流行した年は、
   「肺炎およびインフルエンザ死亡数」が流行しなかった年に比べて、大きく増加する現象。
   98/99シ−ズンでは、超過死亡が、人口10万人あたり12.41になった(3.3万人)。
   99/200シ−ズンで8千人の超過死亡。その9割以上が高齢者である。

 3)小児の入院増加・勤労者の休職など
   冬季の小児科入院原因の1位 or 2位である--
    *日本の小児入院:インフルエンザで毎年数千人から数万人の小児が入院  
     (*米国:8千人から1万2千人が入院--ワクチン予防の必要の検討)

 4)小児のインフルエンザ脳炎、脳症 
1) 発熱後、数日で急激にケイレン・意識障害・意味不明な言動など    
2) 30%が死亡する 3)ワクチン接種歴のない5歳以下の小児、1歳がピ−ク
4)アマンタジンが有効
  *(我が国の学童におけるインフルエンザ罹患数は、年間50万〜100万人とされ、
   うち、脳炎・脳症となる症例は100〜300人、死亡率は30%前後。<厚生省資料>)

  *(解熱剤使用者に 脳症が出ていると警告: ボルタレン錠 など ネリオジン錠 
  バレタン錠 ・・・  ボナフェック錠 ・・・ヨウフェナック錠  プロフェナチンカプセル  
   ボルタレンサポ アナバン坐剤 ジクロフェノン坐剤 フェナシドン坐剤 フェニタレン坐剤 
   ボナフェック坐剤 ボンフェナック坐剤 ジフェナック坐剤 

質問4 インフルエンザの診断はどうするのか?

正答 B鼻汁・咽頭ぬぐい液を採取して酵素免疫法で検出できる(FLU OIA、Flu A)
     発症後1−2日がピ−クで反応するので早期診断に良い。

 
検出インフルエンザ  所要時間  鼻汁ぬぐい液での感度
  FLU OIA   A・B両方検出     20分     88% 
  Flu A     Aのみ検出       15分     92% 
     当クリニックでも 「FLU OIA」検査を行っています。

質問5.インフルエンザワクチンを是非うつべき人は? 

正答 @高齢者・慢性疾患患者・免疫低下状態など合併症のあるハイリスクグル−プ

  抵抗力の弱い、リスクの高い人達にこそワクチンが必要。副反応は重大なものは少なく、
インフルエンザを予防する方が重要。
  高齢者で、接種すると、接種しない場合と比べて発病リスクを34-55%減少させ、
死亡リスクを82%も減少させた。小児では、2−6歳児では、50%、小学生以上では
80%、成人では70-80%の発病防止効果があった。

  
質問6.インフルエンザワクチンの株はどう決定しているのか?

正答  AWHO会議で世界二百ケ所のデ−タ−を解析し、流行予測をだすが、それを参考にして
     日本の地域状況などを総合して国立感染症研究所インフルエンザ種選定会議で選定する。


 *2月に行われたWHOワクチン選定会議の討議結果・推奨株、国内のインフルエンザ流行状況、
分離ウイルスの解析、鶏卵での増殖能などを総合して、3月の国立感染症研究所・インフルエンザ
製造株選定会議で、予測を行い、ワクチン製造株を選定し、厚生労働省に報告する。製造6ケ月前には
決定して、製造に入る。3-4月に製造ウイルス株が分与され10-11日齢の孵卵途中のニワトリ
受精卵にウイルス接種して、行く段階もの工程を経て、7-8月上旬に原液製造、国家検定を受け、
10月上旬に検定合格後、10月下旬に出荷される。6ケ月以上製造にかかるのである。
 * 本年のワクチンには 以下の3種の株が入ったワクチンが製造された。
A/ニュ−カレドニア/20/99 A/パナマ/2007/99 B/ヨハネスブルグ/5/99 

質問7 ワクチン注射後に注意すべきは次のどれか? 

正答 @注射1時間以後の入浴はかまわないが、激しい運動は避けたほうが良い。 

質問8.インフルエンザに有効な治療薬は?

正答A A・B両方に有効なのがタミフルという新薬である

 @アマンタジン(シンメトレル);A型に効く・そもそもアメリカでは老人ホ−ムでインフルエンザ
予防に使用していたが、パ−キンソンにも効果あることがわかったので使われるようになった。
作用機序:ウイルスの脱殻(ウイルスの殻から遺伝子がでてくる)を阻止する。発症48時間以内に
使用・3−5日使用・症状改善・脳症例にも有効、副作用もある、耐性インフルエンザができやすい。
30%治療後2−3日で出る。

 −−−−健康な成人・幼児に使用するのは問題−−高齢者・ハイリスク患者・脳炎例などに
使用したいので。耐性ウイルスが出ていては、困る。70−80%の発病予防効果もある。
副作用:消化器症状・中枢神経症状:不眠・易疲労感

 Aザナミビル(内服薬・商品名タミフル);A,B型 両方にも効く・ノイラミニダ−ゼ阻害剤
(細胞内で増殖した遺伝子RNAが外に出て体内に広がる事ができなくなり細胞の周囲で
死滅してしまう)・ 耐性インフルエンザの出現は少ない・中枢神経系の副作用はない・
抗原変異の影響は受けずに新型インフルエンザにも有効

@なんと言っても、予防が第一です--

予防1.インフルエンザに負けない体力維持のために、過労を避け十分な睡眠をとる。栄養と休養を十分にとる
予防2.手洗い・うがい マスクは普通感冒(50%が鼻かぜウイルス=ライノウイルス)には有効
ウイルスは細かい霧状になって飛まつ・・ウイルスの大きさ=1mmの1万分の1 マスクは簡単に
通過してしまうが・・ヒトの粘液と一緒になって飛ぶのでマスクも一定の効果はあると予想される。
人混みを避ける。
予防3.鼻・喉などを乾燥から避ける。マスク 加湿器等の使用
予防4.一番の予防法は、予防接種である。(いずれ生ワクチンが開発されるだろう)