ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

 夜間頻尿 

Q 「55歳になります。睡眠後、1日に4~5回ほどトイレに行く頻度が増えました。熟睡もできないので困っています。治療法、対処法などがあれば教えてください(佐賀・G)」


A 夜間頻尿のために、熟睡できず、不眠に困っているとのことですね。 

 夜間頻尿とは、夜寝てからの排尿回数が多くなる状態で、泌尿器関連では最も多いものです。統計では、夜間1回以上排尿する人は40歳以上で約4千5百万人、加齢とともに頻度が上がります。夜間頻尿の明確な基準はなく、50才以上では2回以上としたり、2-3回以上起きて、本人が困っている場合とも言えましょう。

 原因ですが、①夜間多尿、②膀胱容量の減少、③睡眠障害とがあります。①には、高血圧、心不全、腎機能障害などの全身性疾患、睡眠時無呼吸症候群、睡眠前の水分のとりすぎ、等があります。②には、過活動膀胱や前立腺炎、膀胱炎、前立腺肥大、老化現象などがあります。過活動膀胱は、膀胱に尿が少量しか溜まっていないのに膀胱が勝手に収縮してしまう病気で、脳卒中、パーキンソン病などの脳神経による場合と原因不明の場合も少なくありません。①②に該当することがなければ③が主因と判断されます。

 夜間頻尿の適切な対処には、原因の解明がまず必要ですが、自分でできるチェック排尿日誌が有用です。朝起きてから翌朝まで、排尿時刻と目盛り付コップで測定した排尿量を日記のように記録するものです。1回の排尿量と排尿回数が判りますので、診断に参考となります。

 対処法としては、高血圧、心疾患、腎障害、睡眠時無呼吸症候群などによる夜間多尿の場合は、原因疾患の治療が重要です。また、脳梗塞や心筋梗塞の予防にと、寝前や夜間に飲水されている方がいますが、有効性には論議があり、水分の摂りすぎで頻尿になっている場合は、水分を控えた方が良いかと思います。過活動膀胱には、膀胱収縮抑制薬などを服用します。睡眠障害による夜間頻尿には、睡眠薬の内服や、よく眠れるような環境整備や生活リズムの改善も重要です。

 是非、かかりつけ医か泌尿器科医への受診をお薦めします。