ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

ちょっと早い5月病

Q 「3月後半から会社の研修が続き、早くも食欲不振と胃の痛み、めまいや動悸が止まりません。休憩時間にふっと倦怠感が出て落ち込むことも度々です。医療機関に行ったほうがいいでしょうか。(愛知・D)」


A 新入職員の研修中に、不調な症状が色々と出てきているようですね。Dさんの症状を整理しますと、まず@食欲不振・胃痛の消化器系症状ですね、そしてAめまい・動悸の循環器系症状 さらにB倦怠感・落ち込む、精神・神経系と思われる症状ですね。これらは、それぞれ原因となる病気が、様々想定できますが、医療機関を受診なされば、一般的な診察と検査で、病気かどうか、そして病気があれば、診断できると思われます。しかし、これだけ多彩な症状が、同時に出てきたことから、その中でメインの病気があり、あとはそれに派生した症状かどうか、さらに全体を一つの疾患として診断名をつけられるかどうかの問題もあります。

 例えば、@の症状は、胃潰瘍・神経性胃炎などが、研修のストレスから発生したのではとも想像されますし、その結果、貧血気味などになって、A・Bの症状につながったのかとか想定できます。従って、胃カメラを受ければ、10数分でその診断はつきます。またA・Bについても、診察を受けられた方が良いかと思いますが、ただ注意されたいのは、専門科ことバラバラではなく、かかりつけ医・総合医に、全体を診てもらった方が良いことです。

 その上で、新入社員の勤務の始まりの時に出てきた症状ということでは、所謂「五月病」も考えられるかと思います。これは、新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称で、新年度に入学や就職、異動などに伴って起きるものです。うつ病に似た症状が、しばしば5月頃から起きることが多いためこの名称がつけられていますが、6月でも、又5月以前にでも起こりえます。医学的な診断名としては、「適応障害」あるいは「反応性うつ病」と診断されるもので、一時的なことも少なくありません。

 診断については勿論受診が必要です。あれこれ悩むよりは、医療機関受診を、お薦めします。