ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

膀胱炎の慢性化

Q 「71歳になります。膀胱炎にかかり慢性化を心配しています。検査では、充血程度でした。それ以降、下腹部や膝、背中や太ももの熱感が続いています。更年期は何事もなかったのですが、更年期障害でしょうか(山口M)」


A 膀胱炎の慢性化をご心配しての質問ですね。まず膀胱炎とは、尿を溜める役割をもつ「膀胱」の粘膜に炎症が起きる病気です。その原因は、多くが細菌(しかもほとんどが腸内細菌)によるもので、女性の多くが経験しています。トイレを我慢したり、冷えやストレスを溜めることで引きおこされたり、悪化したりします。放っておくと、辛い痛みや血尿が続き、また高熱や悪寒・戦慄など激しい症状の腎盂腎炎を引き起こす可能性もあります。一度発症すると症状がつらくて神経質になり、尿はきれいなのに膀胱炎症状だけを繰り返す方もいらっしゃいます。そして、再発を繰り返す慢性膀胱炎になることもあります。

 膀胱炎の症状は、「トイレが近い」「尿をすると痛い」「尿をしたあともすっきりしない」「尿が濁ったり、血が混じる」などです。ひどい時は、10分間隔でトイレに通うとか、排尿痛がつらくてトイレへ行くのが怖くなる人もいます。尿が白く濁ったとか、真っ赤になったなどと驚いて受診される方もいます。そして膀胱炎を繰り返すことになるのが慢性膀胱炎です。

 膀胱炎を繰り返しやすくなる原因疾患がないか、検討が必要です。膀胱結石や憩室(膀胱にポケット形成)、子宮や卵巣、大腸の腫瘍などが関係している場合もあります。質問された方は、検査では充血程度だとのことなので、原因疾患がない単純性膀胱炎とも呼ばれているものだと思われます。 予防としては、飲水を増やして、ふだんから利尿を心がけることが重要です。また、冷えや疲労に気をつけ、排尿を我慢しない事です。また、抗生物質を常備し、症状が現れたらすぐに薬を飲むことも必要でしょう。

 なお、ご質問の後半の更年期障害様の症状ですが、慢性膀胱炎とは、無関係だと思われます。70代での更年期障害も、大変少ないことですので、神経内科などにご相談ください。