ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

原因不明の倦怠感 慢性疲労症候群(CFS)

Q 「今年で63歳になります。55年間、部品加工一筋です。消費税増税や円安などで原価が急上昇したこともあり、昨年5月に胃腸炎を患いました。それ以降は、原因不明の倦怠感が続きます。微熱や筋肉痛などが現れ、不眠が続きます。病院受診はまだですが、慢性疲労症候群が心配です。(神奈川・KA)」


A 今、お困りの症状は、倦怠感、微熱や筋肉痛、不眠などですね。そして 最近、週刊誌などに掲載されていた慢性疲労症候群(略語:CFS)を心配されてのご質問ですね。

 CFSとは、「これまで健康に生活していた人が、感染症などをきっかけとして原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以後激しい疲労感と共に、微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつ等の精神系症状などが長期にわたって続くために、健全な社会生活が送れなくなる」疾患です。(診断基準:平成25年3月改訂の解説より)

 ポイントの第一は、慢性的に続く激しい疲労の原因疾患が、精確な診察・検査によって見つけられない、つまり原因不明だという点です。診断基準では、CFSと区別すべき疾患が、@肺・心不全、肝硬変など、AB型・C型肝炎、エイズなど、B膠原病、リウマチ、炎症性腸など、C多発性硬化症、神経筋疾患、頭部外傷後遺症など、D甲状腺疾患、糖尿病、副腎不全など、E睡眠時無呼吸、ナルコレプシーなど、Fそううつ病、統合失調、薬物依存など、実に多数上げられています。

 ポイントの第二は、以上の様々な病気が否定できて、原因が不明である上に、CFSと診断できるのは、@発症時期が明確、A十分休んでも回復しない、B仕事や生活習慣のせいではない、C疲労の程度として、月に数日は、仕事などを休んでいるなどがあることです。つまりかなり重い状態であるということで、俗にいう「慢性疲労」とは、多くは区別されるかと思われます。

 第2の点から見ると、質問者の方の状態は、おそらく「慢性疲労」状態の可能性が高いかと思いますが、上の諸々の疾患の可能性も否定できません。先ず病(医)院を受診されて、診察と検査などを、是非お受け下さい。