ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

過敏性腸症候群について

Q 「84歳の母は1年半ほど毎日、腹痛を訴えています。大腸がぐるぐる動き、体を横にすると激痛が広がるが立つと痛みは引くそうです。検査もしましたが医師は「大腸に大量の便があるが、便秘薬などで毎日、少しづつ出ているので、大丈夫」とのこと。しかし母は「処方された鎮痛剤は効かない」といいます。痛みの原因は何が考えられますか。」


A 強い腹痛があるが、検査では異常が認められないとのことですね。CT,レントゲンなど異常なしですから、大腸癌や潰瘍性腸炎など命に係わるは病気は否定できると思われます。

 検査で異常がない腹痛は、「機能性消化管障害」が疑われ、腸の症状が中心の場合は「過敏性腸症候群」(IBSと略)という病気が考えられます。その定義は、「腹痛や腹部不快感などの下腹部を中心とした腹部症状、また便秘か下痢などの便通異常があり、症状の原因となる器質的障害を認めない腸管の機能性疾患」とされています。そして、便が溜まっており、「便秘薬などで、出ている」ので「便秘型」に分類されるかと思います。

 激しい痛みの原因はIBSと考えられますが、体位により痛みが変わることについては、説明しきれません。便通異常があり、「大腸がぐるぐる動く」と腸管の運動が亢進している状態ですから、高齢者に多い弛緩性(運動低下)ではないようです。運動亢進は、IBSによりますが、狭窄か癒着も疑われます。しかし大腸検査異常なしで狭窄は否定できますが、癒着は判断できません。

 そこで、「体位による痛みの変化」は、何らかの癒着があれば説明できそうです。癒着の部分が体位によって、狭窄状になり、その上の部分にガスがたまりやすくなり、腸管を広げると激しい痛みになることもあります。

 IBSの治療ですが、食事の注意として腹痛の原因となる食物は避けること。また睡眠不足、精神的緊張を避け、ストレスを溜めないこと、自律神経系を乱さない事も重要です。薬物療法は、IBSの治療薬を用います。また、抑うつや不安を抑える薬を使うこともあります。消化器・大腸専門医へもご相談されては如何でしょう。