ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

肝硬変でも禁酒できない 家族の対応は

Q 「50代で肝硬変を患い、看病しています。お酒が大好きで止めてもお酒を止めてくれません。腹水もたまりはじめています。薬は飲ませていますが、鬱状態にもなっています。どう対応してよいか悩んでいます。家族はどうしたらよいのか、アドバイスをお願いします。(50代)」


A 「アルコール性肝硬変で腹水もたまり始めており、精神状態も悪い。しかし飲酒をやめない」との事。ご家族としては、困りはてて、悩まれているご様子、とても大変ですね。「どう対応したらよいか」ですが、結論からお話しいたしますと、"何が何でも禁酒させること"が、最重要だということです。それなしには、どんなに最新の薬を飲んでいても、効果は上がらず、どんどん病状は悪化していき、命にかかわる事態になってしまいます。ある調査では、飲酒継続していると約4年後までに亡くなる方は、約7割に及びます。一方禁酒継続できれば亡くなる方は、何とたったの1割だけに減少するのです。いきなり厳しいお話しになってしまいましたが、「お酒をやめない限り、命とりになってしまう」ことは、あまりにも明白なのです。「お酒をとるか、命をとるか」二者択―であることを、率直に、愛情をこめて、ご説得ください。

 それでも、禁酒できない方は、アルコール依存症になっている可能性が高いと思われます。アルコール依存症は、アルコールによって自らの身体を壊して、家族などに迷惑をかけ、社会的・人間的に信用を失墜しても、自分の意思では飲酒行動をコントロールできなくなる精神の病気です。こうなると家族の力だけでは、治すことはできません。精神科医や保健所などの力を借りる必要があります。しかも、節酒ではなく、きっぱりと止める断酒が必要となります。抗酒剤の投与や、断酒会などのサポートも受けたりして、断酒をしていかねばなりません。場合によっては、アルコール専門の病院への入院も必要で、主治医とも、ご相談下さい。

 何としても断酒しなければ、かけがえのない人生を完全に破壊してしまいます。家族と医療の力でアルコール地獄から、ご主人を救い出しましょう。