ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

歩行中にめまい

Q 「最近、めまいが気になります。歩行中に突然、フラッとめまいがします。立ちくらみとは違い、心配です。何か病気とつながるのでしょうか。(40代・男性)」


A めまいで、外来受診される患者さんは、一般内科小児科の当院でも少なくありません。私自身も、「良性発作性頭位めまい症」で治療を受けたことがあります。とても不快でしたが、診察の結果良性だと診断されほっとしたものです。さて「めまい」とは、自分が感じる身体の位置情報が実際とは違っている場合に生じる不快な感覚です。この身体の位置を感じる働きに関係する「前庭系」「深部知覚系」「視覚系」などの不調がその主な原因です。しかし、「小脳系」「錐体外路系」などの平衡機能の異常によるものや、「心因性」の場合もあります。(やや難解用語、すみません)

めまいは、症状などから、回転性、浮動性、失神性、平衡障害の4種類に分類されます。「周囲(天井)がグルグルと回る」ように感じる回転性、「宙に浮いた感じ」「船に揺られている感じ」などと表現する浮動性、立った時などに感じる「気の遠くなるような感じ」の失神性、歩行時や体の位置を変えた時に起きる「足元がふらつく」との表現の平衡障害です。

 一方、「立ちくらみ」は、立ち上がった時にクラッとする、朝礼で急に倒れたなどの症状です。「脳貧血」を起こして倒れたと表現される「起立性めまい」とも呼ばれるものです。その原因は、立った時に血圧がぐっと下がってしまう「起立性低血圧」です。

さて、質問された方の"歩行中のめまい"ですが、症状からは「浮動性めまい」が該当するかと思われます。その原因は、貧血、低血圧、低酸素、心血管系、椎骨脳底動脈循環不全、薬剤性など種々であり、続く場合は全身的な診察や検査が必要となります。また、精神的ストレスによるものも考えられるようです。肩こりや頭痛、眼精疲労に伴ってみられる症状の場合もあります。ストレスが原因の場合であっても、めまいを感じた時には、まずは医療機関を受診する必要があります。かかりつけ医か耳鼻科を、ご受診ください。