ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

脳梗塞後の注意点について

Q 「脳梗塞を患いました。その後の生活に不安を持っています。 普段の生活で注意すべき点を教えて下さい。(70代・男性)」


A 脳梗塞後の生活に不安があるとのこと。具体的な状況と、不安の内容がわかりませんので、一般的に多い、後遺症・介護・再発予防について説明します。

 まず後遺症ですが、血栓が詰まらせた血管と、壊された脳機能によって、障害は異なってきます。多いのは運動障害で、一回の発作では片マヒ(左か右の手足の片側マヒ)が起きます。そして、感覚障害、発声や嚥下の障害など機能障害が出ることもあります。また知的障害(記憶障害、失語など)や精神症状(妄想・不穏など)が出る場合もあります。これらは、やる気がないなどと誤解されがちですが、脳障害の結果おきたものですから、リハビリを続けることが重要ですね。

 後遺症により生活の不自由が残ると、介護が必要となります。デイケア(通所リハビリ)・デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所介護)など、目的に応じた介護が受けられる日本の介護保険制度です。制度は確立して、施設も揃ってきていますが、利用料が高い等からの困難と、介護の質の問題があります。生活障害が出てきた方は、何でも介護してもらうのではなく、身体機能を保つために、ご本人が出来ることは、なるべく行うよう努力することが重要です。適切な介護で、回復の可能性を広げたいものです。また、特定の人だけが介護を担うのは、介護疲労となります。必要に応じ、介護保険などの利用も検討しましょう。

 そして大事なことは、再発予防です。脳梗塞は、再発が起きやすく、5年以内には約3割の人が再発しています。再発予防の第一は、血栓をできにくくする薬物治療の抗血栓療法です。「抗凝固薬」などの薬物内服を続けることです。第二に、血栓が出来やすくなる危険因子への対策です。高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、などの生活習慣病や、喫煙・食事・運動などの生活習慣です。これらにより動脈硬化が悪化し、血栓ができやすくなります。これらの危険因子を改善していきましょう。