ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

アルツハイマー病の原因について

Q 「友人の両親がアルツハイマー病になってしまいました。同世代の親を持つので、自分の両親のことも心配です。アルツハイマー病には、どういう原因があるのでしょうか。」


A アルツハイマー病は、医学的にはアルツハイマー型認知症(ADと略)と呼びます。認知症の原因となる病気の中で最多で、6〜7割を占めています。認知症を起こす病気は実に多くあり、代表的なものがAD、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病などです。

 認知症は、近年増えています。65歳以上の高齢者の10%を越え、300万人以上になっています。今後も増え続け、2020年には、400万人を超えると推定されております。特徴的なのは、高齢化とともに増加していくことで、65〜69歳が1.9%、75〜79歳が8.8%、80代後半以降が34%で、85歳以上の超高齢者は、3人に一人が認知症になるのです。

 ADの原因としては、加齢、遺伝子型、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、ある種の生活習慣などが指摘されています。加齢と遺伝子型は、対策のしようがありませんが、生活習慣病と、生活習慣については、個人の努力次第でもあり、予防策となる可能性があります。

 生活習慣病については、治療法が日進月歩で発展しており、ご本人がしっかりと養生して治療に取り組めば、十分な効果が期待できます。また食事習慣としては、魚・野菜・果物の摂取が重要で、殆ど魚を食べない人は、毎日1回以上魚を食べている人に比べ、ADの危険が約5倍となります。また、運動習慣としては、有酸素運動で高血圧などが改善し、脳血流量も増すため発症の危険を減少するとされています。日記記載、文章の音読、楽器演奏など知的生活習慣も重要です。

 喫煙については、ADの発症を減らすとの説もありましたが、この説を唱えた研究団体が、たばこ産業から資金を貰っていた事実が暴露されています。この説は、大規模研究などで現在は否定され、喫煙でADの発症リスクが1.8倍に上昇したとの結果が出ています。

 AD予防策として、種々取り組んでいただければ幸いです。