ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

歯ぎしりについて

Q 「就寝中、歯ぎしりが激しく子どもが目を覚ますほどです。たまに、ほっぺの内側を噛んでいるときもあります。朝起きると、首筋から肩にかけて張っています。歯ぎしりは、治療ができるのでしょうか。(30代女性)」


A 歯ぎしりは、睡眠時あるいは日中に、歯をこすり合わせたり、噛みしめたりするもので、多くはキリキリと音が出て、家族などに迷惑をかけてしまいます。音が出ない、無意識に強く歯をかみしめる「食いしばり」も同類です。強い歯ぎしりは、音で周囲に迷惑をかけるだけではなく、ご本人の健康にも影響が出ます。放置すると、歯が次第にすり減り、歯肉にも影響が及び、歯やあごの痛み、かみ合わせが悪くなったり、歯肉炎が悪化する原因ともなります。さらにあごの関節に異常が起きて、疲れやすくなったり、目の奥の痛みが来たりします。そして、質問者のように首筋の張りや肩こりがきたり、頭痛や睡眠時無呼吸との関連も指摘されたりしておりますので、治療が必要と思われます。

 歯ぎしりの原因ですが、最大の原因は、ストレスであるとの説が有力です。従来、噛みあわせが原因だとされてきましたが、その関連性は否定的のようです。また子どもにも良く見られますが、これは歯の生えかわりや骨の発育に関連していて、ほとんどの場合自然に治ります。

 治療ですが、歯科医院で、患者さんの上の歯に合わせて「ナイトガード」(歯ぎしり防止装置、マウスピース)と呼ばれるプラスチック板を作り、それをつけて寝るようにします。歯ぎしりをしても音も出ず、歯もすり減らず、次第に歯ぎしりもなくなります。また、マウスピースを装着することによって安心し、少しでもストレスを軽減させるという意味ももっています。

 根本原因としてはストレスの可能性が高いので、ストレス軽減化の治療が必要になります。自己暗示療法、精神安定剤を使用する方法、漢方を使用する方法などがありますが、一般の歯科医院であまり行っていません。歯ぎしりの治療に力を入れている一部の歯科医院や、精神科などで行われていますので、かかりつけ医にご相談下さい。