ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

若い人の白内障

Q 「23歳の息子が右目の白内障と診断されました。医師に手術を進められました。年配の人なら手術と思っていますが、若いので他の治療方法がないかと迷っています。右目の視力は0.2しかありません。手術をすべきでしょうか。」


A 白内障とは、瞳の奥にある水晶体(眼のレンズの役目)が濁る病気です。一般的には、加齢性のものが多く、40代から出現します。年代とともに増加して、60代で6割、90代では9割の方が罹っているとの統計があります。23歳の息子さんのように、若い人の白内障も、近年、増加傾向にあるとも言われています。

 若い人の白内障の原因ですが、遺伝性のことや、目のけがや網膜剥離、ぶどう膜炎、糖尿病やアトピー、栄養失調などで併発することもあります。しかし原因が特定できないことも少なくありません。その他にも放射線や赤外線の影響、副腎皮質ホルモンや抗精神薬などの副作用も、関係することがあります。従って、これらの諸要因への対策を取ることが進行予防につながる可能性もありますが、確実な効果が期待できるわけではありません。そして一度発症した水晶体の混濁は、残念ながら元には戻せません。

 治療ですが、薬物治療と手術治療があります。まず進行を遅らせる目的で点眼薬を使用しますが、効果は確実とはいえません。すでに起きてしまった水晶体の混濁を解消する効果はなく、初期の白内障の進行予防を期待して使用されています。結局、確実な効果が期待できるのは手術治療だけです。混濁した水晶体を取り出し、代わりのレンズ(眼内レンズ)を挿入する手術で、日本全体では、年間90万件も行われています。手術技術は、近年飛躍的に進歩し、外来通院でも可能になってきています。若い人の場合も、治療法は基本的に同じで、目がかすんで、生活に支障が出てきたら、手術も検討せざるを得ないでしょう。ただ、眼内レンズの寿命が半永久的か不明な点も含めて、主治医とよくご相談して、本人が納得して手術の時期などを決められては如何でしょうか。