ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

肛門がゆるいと言われました

Q 「私は、68歳の主婦です。痔の気(軽いいぼ痔)があり、二年ほど前から医師の処方で軟膏と飲み薬がでています。最近、“痔”そのものよりも肛門の括約筋がゆるいとも言われました。どのようなことが考えられますか?気長に治療するものなのか不安です。」 (富山・M)


A 痔の治療中で、医師から肛門の括約筋が緩いと言われたとのことですね。

 まず、肛門括約筋とは、肛門周囲を輪のように囲む筋肉で、通常は肛門を閉めています。そして排便する時にはこれが緩んで肛門を広げ、大便がスムーズに通過するようにします。

 では、この括約筋がゆるくなる(肛門機能不全とも呼びます)原因ですが、加齢が最も多いようです。また、糖尿病、神経の病気、そして脳梗塞の患者さんにもみられ、重症では、排便失禁状態が起きてしまいます。痔の場合は、手術を受けて、筋肉に傷がつくとゆるむ原因となりますので、質問者の場合は、関係ありません。

 診断は、まず肛門指診でおこなわれます。これは肛門内に指を挿入して、括約筋の筋力を指で感じるとる方法です。また専門医によっては、肛門専用のセンサーを使って括約筋の収縮力を調べる(肛門内圧検査)場合もあります。

 治療ですが、肛門の筋力トレーニングが有効と言われています。れは、肛門括約筋を締める練習を、繰り返す方法です。特に入浴の際や、排便後に、またその他の時にも、肛門を上に引き上げるように、ギュっとすぼめ、その状態を10秒ほど保ちます。そして、の後力を抜いて緩めた状態で10秒と、これを毎日10回くらい繰り返します。これにより筋力アップが期待できます。肛門専門科では、筋トレの際に、センサーを使用して、肛門の動きをモニターで確認しながら訓練すること(バイオフィードバック)で、より効果的のようです。

 筋トレは、痔の治療にも有効ですので、気長に試みられては如何でしょうか。