ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

膝関節痛の治療法

Q 「重い荷物を持ったときに左ひざが痛むので、右足でかばっていたらそちらも痛み始めました。60歳過ぎで加齢のためもあるでしょうが、治療法などはありますか。」(埼玉・A)


A  両膝が痛くなられたとは、とても苦痛ですね。治療法は、勿論ありますよ。

 膝関節痛の原因ですが、ご質問いただいた方の症状は、まず変形性膝関節症によるものと思われます。これは、膝の関節の内側の軟骨がすり減った結果、骨の先端などに棘(とげ)のような突起が出来たり、関節が変形したりで、痛みが進行していく病気です。もともと、膝関節には、歩行や走行のときなど、体重の3〜10倍もの重さが負担となるわけで、重いものを持ったり、捻ったり、ぶつけたりで、さらに衝撃が加わる中で、障害が発生してくるのです。

 関節が、変形する病因としては、老化、肥満、O脚、筋力低下、スポーツ障害、偏平足、重労働、半月板損傷、骨折後の変形などがあります。特に40才以上の中高年の方に多く、圧倒的に女性に多いのが特徴です。また、変形が強く出てくるのは、膝関節の内側で、従って痛みも主にこの部分に強く出ます。症状としては、動く時の痛み、特に動き始めの痛みが特徴的で、立った時や歩く時の痛みが、対策や治療を行わないと、徐々に、悪化していきます。殆どの例で、関節に水が溜まり、腫れてきます。

 治療ですが、保存的治療が基本です。

@関節への負担軽減に、体重を減らす生活指導(最も重要で、最も有効。BMI25%以上の方は、体重5%以上の減量を推奨)、

A膝関節を保護するために、筋力を強化する運動療法(特に、太ももの筋肉を強化する訓練が有効だが、効果が出るのは1−2ケ月後)、

B関節保護のための、装具療法(各種の膝装具、テーピングなど)、

C症状を和らげるための薬物療法(急性増悪期には非ステロイド系の鎮痛剤内服やシップなどの外用薬)、

D関節内注射(ヒアルロン酸製剤やステロイドが使われる。厳重な無菌的手技が必要)などが行われます。

 これらの保存的治療でも、症状が改善せず、痛くてつらい状態が続く場合は、手術療法として、人工関節置換術が行われる場合もあります。痛みが続く場合は、是非、整形外科専門医にご相談ください。