ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

プロ野球のコーチが、くも膜下出血で・・・

Q 「プロ野球のコーチが37歳でくも膜下出血でなくなりました。私もほぼ同年齢なので、大丈夫かと気になりました。詳しい症状等を教えてください。」 (O・奈良)


A  このニュースは、くも膜下出血(以下SAHと略します)の恐ろしさを示していますね。30歳代の頭痛の方が、心配で受診された方もおられました。SAHは、このコーチのように中年世代で死亡に至る脳卒中ですが、統計では、50代〜70代にわたるもので、女性に多いものです。若年では、やや男性に多いと言われており、中年の働き盛りの過労死として、社会問題にもなっているものです。危険因子としては、高血圧、家族歴、喫煙などが知られている。

  くも膜下出血(SAH)は、くも膜という3層ある脳膜のうちの真ん中の膜の下に出血した状態です。その原因は、外傷性の場合と、脳動脈瘤の破裂が原因の多くである。初回破裂もしくは再破裂、その後の脳血管れん縮によって、死亡や重篤な神経脱落症状の後遺症をおこし、重症になりやすいものです。

  症状としては、最も特徴的なのが、“突然のこれまでに経験したことのない激しい頭痛”です。頭をハンマーで殴られたようなというほど激しいものです。私の義母も60代の時に、発症しましたが、この激しい頭痛については、それはひどかったと良く回想しております。数日間は意識も朦朧としており、記憶もおぼろげでしたが、この激しい頭痛だけは、忘れもしないと良く述懐していました。

  診断は、頭部CTで、くも膜下の出血を確認で診断できますが、発症から数日たつ場合には、血液が吸収されてきて、出血を診断できにくい場合もあり、腰椎穿刺検査が必要な場合もあります。突然の激しい頭痛の場合で、SAHの疑いがある場合は、脳外科医の診察が望ましい場合もあります。