ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

耳の穴のなかにカビが生える病気

Q 「耳の穴のなかにカビが生える病気があると聞いています。よく耳掃除をするので気になります。どういう病気ですか。」 (宮崎・H)


A 耳の穴のなかは、細いトンネルの様な管状になっており、つきあたりの鼓膜までを、外耳道と呼んでいます。この外耳道に、カビ(真菌)が生える病気は、真菌性外耳炎(又は外耳道真菌症)といわれ、かゆみ・痛み・耳だれなどの外耳道炎症状が出てきます。

  外耳道炎の原因で一番多いのは、細菌(緑膿菌・黄色ブドウ球菌,または大腸菌など)によるもので、真菌(アスペルギルスまたはカンジダなど)によるものはそう多くはありませんが、耳掃除のやりすぎの場合におきやすく、また適切な治療を行わないと治りにくい場合も起きます。

  外耳道の皮膚は非常に薄くてデリケートで、軽く触るだけでも皮膚の自浄能力や抵抗力が失われます。そして、耳の中は湿気があるので、カビ菌(真菌)の絶好のすみかとなり真菌性外耳道炎になるのです。また海水浴やプールで耳の中に入った水を放置して外耳が湿った状態のままにしておいても、真菌に感染しやすくなります。

  治療としては、細菌性には抗生物質内服と局所用抗生剤の塗布を行いますが、真菌性の場合は、抗生物質は無効であり、抗真菌薬治療が必要となります。その場合も、まず外耳道を良く清掃し,抗真菌性溶液(例,ゲンチアナバイオレット,クロトリマゾールなど)を用いる必要がある。清掃と治療は繰り返す必要があります。ステロイド外用薬も有効ですが、使い方を誤ると、かえって悪化させることもありえますので、必ず、専門医の指示で治療をお受けください。

  予防法は、耳かきのしすぎには注意しましょう。外耳道を傷つけないように、自宅では耳かきを使わずに、細い綿棒でできるだけソフトに清拭することです。又、水泳直後に消毒用アルコールと酢を等量混合したもので耳を洗浄することも有効のようです。