ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

粉瘤腫(ふんりゅうしゅ)と診断されました

Q 「母に『立っていられない程痛い』と話す化膿が、足の裏にできました。診療所で「粉瘤腫(ふんりゅうしゅ)と診断され、切除手術を受けました。原因や症状を教えてください。」  (鳥取・Q)


A 粉瘤腫とは、別名をアテローマ・表皮嚢胞・類表皮嚢胞などと言い、皮膚の下にできた袋状のものに老廃物(皮膚のあかと脂)が、溜まって脹らんだ腫瘤の総称です。原因ですが、多くは先天性であり、刺激が同じ場所に続くことや外傷による場合、術後にできる場合などが考えられています。

 症状としては、皮膚の下に、半球状の盛りあがり(腫瘤)を作ることと、感染をおこすと痛みが出てくることです。袋にたまった垢や皮脂は外には出られないので、徐々に増えて、時間とともに少しずつ大きくなっていきます。粉瘤腫ができやすい場所は、顔、首、背中、耳のうしろなどですが、身体のどこにでもできます。しこりの形は、やや盛り上がった数mmから数cmの半球状で、しばしば中央に黒点状の開口部があり、強く圧迫すると、臭くてドロドロしたネリ状の物質が出てくることがあります。

 ご質問の、強い痛みですが、しこり内の老廃物に細菌が感染し、炎症が強く起きた場合に起きるもので、膿みがたまった状態(膿瘍)になり、赤く腫れ上がります。腫れ方がひどくなると、破裂して膿が出やすくなり、そうなると痛みがおさまります。

 治療ですが、腫れ方が軽く炎症をおこしていない場合は、放置することも少なくありません。しかし、腫れて邪魔に感じたり、炎症をおこしやすい時には、袋ごと切除する手術を行うのが一般的です。小さい場合は、電気メスなどで開口し、老廃物を圧出、袋を反転させる形で除去することもできます。どのような手術でも、再発を防ぐために、袋は完全に除去する必要があります。除去が完全であれば、ほとんど再発しません。ただし、感染症を起こしている場合には、まず抗生物質内服で、炎症を治すことが優先されます。