ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

胸レントゲン検査で「浸潤性(孤立性)」と

胸レントゲン検査を受けたところ「浸潤性(孤立性)」と判断が出され、再検査を通告されました。どのような病気が考えられますか。」(兵庫・M) 

A 胸部レントゲン検査において判断された「浸潤性(孤立性)」とは、やや難しい医学用語ですが、肺の病気の診断では良く見られる所見です。それには、様々な病気が含まれますので、再検査・精密検査が必要になることが多いと思われます。

 まず「浸潤性」の意味ですが、レントゲン写真に写っている肺の中の淡い陰影のことで、その特徴は、肺の正常部分との境がぼんやりとしている(境界不鮮明)ことです。病理学的には「細胞性成分や滲出性成分からなる滲出性病変を主としている病巣」の反映で、炎症性変化の場合が多いと思われます。「孤立性」とは、多発性ではなく一か所にだけある変化のことで、病気を診断するうえで、参考になる所見です。

  「浸潤性(孤立性)」の陰影をもたらす病気としては、まず感染症として、各種の肺炎、そして結核が問題になります。また肺がんなどの腫瘍性の場合もありえます。以下、可能性のある病気について、その特徴についても説明します。

  @細菌性肺炎(急な発症・高熱・咳・痰あり、痰検査で原因菌の証明で診断) Aマイコプラズマ肺炎(症状は@と似ていますが咳が強い傾向あり、陰影が淡く不均等で、血液検査の抗体価上昇で確定)、 Bウイルス性肺炎(血液検査で、白血球が増加せず、ウイルス抗体価の上昇で診断) C肺結核(微熱・咳・痰あり、空洞陰影があれば疑い強い。痰検査で結核菌の塗沫・培養で診断) D原発性肺がん(咳・痰あり、無症状の場合も。痰の細胞診や気管支鏡検査での生検で、癌細胞確認で診断) E肺胞上皮癌(咳・粘稠な大量の痰、細かい散布性陰影、細胞診と気管支鏡検査で診断) F中葉症候群(咳・微熱・痰、中葉又は舌部にのみ限局した不均等陰影、気管支鏡検査・気管支造影で診断)。

 このように、様々な病気がありえますので、必ず受診し、精密検査をお受けください。