ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

三叉神経痛(さんさしんけいつう)で手術しました

Q 「父が三叉神経痛(さんさしんけいつう)で一度手術しましたが、その後も顔の痛みが残り食事や会話などが困難です。よい治療法や対処法はないでしょうか。」(埼玉・E 

 三叉神経痛とは顔面が発作的に繰り返す電撃痛で、顔の感覚(痛い、触れる、冷たい、熱いなど)を脳に伝える神経(三叉神経)に痛みが起こるものです。その原因としては、脳神経を圧迫する血管が注目されています。その他、脳腫瘍や多発性硬化症などによるものもあり、画像診断などで原因が特定できる場合と、特定できない特発性の場合があります。
 治療法は、まず内服薬投与が行われます。てんかん治療薬のカルバマゼピン(テグレトール)という薬が特に有効で、8割以上の人に効果があります。又てんかん治療薬のバルプロ酸ナトリウムやフェニトインという薬や、筋弛緩薬のバクロフェンも時に有効です。
 手術治療は、内服治療でどうしても痛みが取れないときや、脳腫瘍が原因としてはっきりしている時、血管が圧迫して痛む場合などに行われます。腫瘍を摘出することや、神経を圧迫している血管の位置を移動させて圧迫を減らすことで、痛みを改善させようとするものです。
 もし内服治療でも、手術治療でも、痛みが改善しない時は、三叉神経ブロックや放射線治療が行われる場合があります。
 三叉神経ブロックは、神経に直接注射して痛みの伝わり方を弱めようとする方法です。局所麻酔薬やアルコール、高周波凝固を使用しますが、有効性が高い治療法です。有効期間が1-2年であり、しばしばしびれ感が残るようです。
 放射線治療は、多方向から放射線を照射して脳の深い部位の一点に強い放射線をあてる治療法で、ガンマナイフなどがこれに相当します。速効性は乏しいものの、副作用が少ない治療として注目されていますが、保険適用外であり、自費となります。
 手術の効果がない場合にも、上のような選択肢がありますので、主治医とよくご相談ください。どうか、お大事にしてください