ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「五十肩のリハビリ」

Q「五十肩になり、腕が肩から上にあがりません。よいリハビリ法はありますか。(青森・M)
 

A「五十肩(ごじゅうかた)は、肩関節の周囲に炎症がおきる病気(肩関節周囲炎)で、中高年の方に多く見られます。六十代や七十代の方にも見かけますが、「七十肩ではなく、四十肩ですよ」と以前の名前で説明すると、笑顔になられます。
 症状は、腕があがらない・手が後ろに回らないなどの運動制限と、肩・上腕などの鈍痛です。運動制限が強いことから、英語ではfrozen shoulder凍った肩)とよばれています。肩関節周囲の加齢変化(老化現象)による組織の縮みと、運動不足の上に無理な運動などが引き金になって発症すると見られています。 
 症状経過としては、痛みが徐々に強くなりピークに至り(急性期)、それが数週間は続き次第に和らいでくる時期になります(慢性期、2−4ケ月ほど)。そして、鋭い痛みが感じられなくなるまでに数ケ月から半年前後、さらにボールなど物を投げられるようになるまでには1年前後(回復期)かかることもあります。
 リハビリ法ですが、痛みが強くならない程度に肩関節の運動をすることが必要で、入浴と上肢の体操を十分に行いましょう。しかし無理な急激な動作は避けましょう。一般に言われアイロン体操などは、痛みが和らいだ後のリハビリ用のもので、症状の進行を止める効果ははっきりしません。
リハビリは時期ごとの注意点があります。急性期は痛いところを冷やして、安静にしていることが大事です。また慢性期には、肩を温め、痛まない範囲で少しずつ肩を動かすことが重要です。回復期は、さらに積極的に肩を動かすことが必要で、温めながらマッサージをして多方向に肩を動かしたり、体操もお勧めです。
 実は私も、2年前に罹りましたが、大手振り大股歩行で、だんだん症状が軽くなって、1年ちかくで完治しましたので、気長な付き合いが必要ですね。