ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「心臓がバクバクし、気絶したことも」

Q 「急激な運動をすると、心臓がバクバクし不整脈のようになります。電車内で気絶したこともありました。どのような病気が考えられますか。」(東京・Y)
A 心臓がバクバクする状態を、医学的には動悸といいます。動悸には、a脈拍が乱れていないが強く感じる場合と、b脈が速くなっている場合(頻脈)、そしてc脈が乱れている場合(不整脈)の3通りが考えられます。
 aは、血圧が上がっていることが心配されますので、すぐに血圧を測ってみる必要があります。高血圧ならば降圧剤を飲む必要が出てきます。また、緊張して血圧が上がる場合には、交感神経を抑える薬が必要な場合があります。 bの場合は、心不全・狭心症・頻脈などの心臓性と、甲状腺機能亢進・褐色細胞腫・低血糖・貧血などの全身疾患性、さらに薬剤性・コーヒーなどカフェインなどによる外因性、そして、不安・興奮にともなう精神的動悸がありえます。心電図・血液検査などが必要です。脈が乱れるcは、期外収縮・発作性心房粗細動・発作性上室性頻拍などの頻脈性不整脈(脈が速くなる不整脈)が考えられますので、心電図検査、24時間心電図で、大体は診断がつきます。 
 「気絶」したこともあるとは、医学的には失神と言って、脳への循環が悪くなって一時的に意識障害をおこすことです。その原因としては、以下に分類されています。@心臓性失神(不整脈などによるもの)、A交感神経低緊張型失神(血圧の急激な低下によるもの)、B神経調節性失神(咳発作や激しい疼痛によるもの)の3つです。質問者の場合は、電車内で失神があったとのことですが、@の不整脈によっておきた可能性が高いですが、不整脈とは別に電車内の環境から、AないしBが起きたことも否定はできません。 @の心臓性失神の場合ですと、重篤な不整脈が出て、突然心停止が起きることも危惧されますので、速やかな精密検査が必要で、受診を急がれた方が良いと思います。勿論他の場合でも、受診・検査が必要です。
 少し驚かせましたが、医療からは常に最悪の場合を考えて早目の対応が必要ですので、ご理解ください。