ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「男性の更年期症状について」

「更年期症状を訴える男性が増えていると新聞に書いてありました。 更年期障害は女性特有の症状かと思っていましたが、男性の更年期 症状と治療について教えて下さい」(北海道・K)
A 40代、50代の男性に、加齢に伴う男性ホルモンの低下が原 因で、女性の更年期障害と同じような症状が出るということが知ら れてきています。女性の更年期障害は、多くは閉経をきっかけに女 性ホルモンが急激に減少して発症しますが、男性ホルモンの減少は 緩やかで、明らかな徴候がないために診断がつきにくいのが現状で す。しかし 中には極端に減少し、仕事を辞めざるを得ないほど症 状が重くなる男性もいるとのことです。最近、各地の病院の泌尿器 科に男性更年期外来ができ、ホルモンの補充などの治療が始まって いますが、まだ一般的には広く知られてはいません。
 男性更年期障害の症状は、憂うつ感、無気力、疲れやすい、情緒 不安定、記憶力低下、集中力低下、不眠などの精神・神経症状、ほ てり、冷え、発汗、肩こり、頭痛、めまいなどの自律神経失調症状、 手足のしびれ、尿意切迫感、筋力低下、腰痛、筋肉痛、性欲の低下、 勃起力の低下など多彩なものがあります。
 この中で、特に「@疲れやすい A肩こり・頭痛・顔のほてりな ど複数の症状がある B夜眠ってもすぐ目を覚ましやすい・夜なか なか寝つけない C腰や手足が冷える」などが気になり、体調が良 くないと感じたら、一度は更年期障害を疑い、泌尿器科や神経内科 などの更年期専門外来を受診してみることも必要かもしれません。 そこでは、症状を問診票でチェックした上で、採血して男性ホルモ ン量を測定します。症状が出ると言われている7〜8割以下へのホ ルモンの低下が認められ、かつ前立腺がんや他の疾病などが見られ なければ、男性更年期障害と診断されます。
 治療としては、基本的には男性ホルモンが使用されますが、個々 人により症状に差があるので、自律神経調整薬・漢方薬・抗うつ薬 などを組み合わせて使用することもあります。男性ホルモンの副作 用で最も問題なのが、前立腺がんですが、血液検査で早期発見でき ますので、定期検査していく必要があると思われます。