ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「足がしびれ、ヘルニアと診断されました」

Q「夫が足がしびれるといって受診したところ、ヘルニアと診断されました。 薬を服用していましたが、最近では、少し歩くだけでも痛みがひどくなり、 医者からは「痛いときは寝てるしかない」と言われています。最近は手術を あまりしないと聞いていますが、よい治療法はないのでしょうか。また、 ヘルニアは完治するのでしょうか」 (埼玉・T)

A ヘルニアとは「臓器の一部が本来あるべき腔から逸脱した状態」です が、ご質問の”足がしびれる”症状からは、ご主人が診断受けたヘルニア は「腰椎椎間板ヘルニア」のことと考えられます。椎間板は、腰椎の椎骨 と椎骨の間にあってクッションのような役割をしている所で、その真ん中 にある柔らかい半液状の部分(髄核)が、後方へ膨れて、脊柱管内に飛び 出た(逸脱した)状態を椎間板ヘルニアと言います。その結果、脊柱管内 にある神経などを圧迫する事になり、激しい痛みやしびれなどの症状が引 き起こされるのです。
 治療は、まず保存的治療(手術しない方法)を行いますが、それで、7 −8割の方は、数カ月から半年の内に治癒(症状が消える)します。 (3週間から3ヶ月間で8ー9割の人が良くなるとの報告もあります)具 体的には @安静の指示、A日常生活動作の注意点指導、B活動時の装具 療法(コルセット着用)、C薬物療法(非ステロイド系抗炎症剤やビタミ ンB製剤、筋弛緩剤など)、Dリハビリテーションとして腰椎牽引療法や 温熱療法・電気刺激療法、E難治例に神経ブロック療法などです。  これらの保存的治療では治癒せずに、手術が必要になってしまうのは 10〜30%程度と言われています。
 その対象となるのは、@耐え難い 痛みが続く場合、A直腸膀胱障害(尿が出なくなる)が認められる時、 B運動麻痺を認める例などです。手術としてはヘルニア摘出術とその後に 椎体を固定する前方固定術があります。最近は内視鏡手術や切開をしない レーザーによる方法も行われていますが、ヘルニアのタイプによって適応 が限られますので、もし手術が必要になれば整形外科専門医とよくご相談 頂く事が必要です。