ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「お腹にガスが溜まり、不快感を感じます」

Q「お腹にガスが良く溜まり、不快感を感じています。胃腸はあまり強くなく、 下痢をすることもあります。胃や大腸の検査をしても異常はありません。 なにが原因でしょうか。日常的に注意することなどを教えて下さい」   (高知・H)

A 「ガスが良く溜まる」原因についてですが、まず一般的に「腸のガス」は 何に由来するかをご説明しましょう。何と3分の2は、口から飲み込まれた空 気であり、残り3分の1が、腸内で発生したガスです。そのガスは、食事(イ モ・豆類など)由来の成分が発酵して生じた炭酸ガスやメタンと、小腸で十分 消化、吸収されなかった食物の残りかす(タンパク質)が腸内細菌で分解され、 発酵したガス(インドール、アンモニアなど)などです。
 では腸のガスが「溜まってしまう」原因と疑われる病気は、@空気を多量に 飲み込んでしまう場合(空気嚥下症や神経症など)A消化管内でのガスの増加 (消化不良・膵酵素と胃液の分泌不足、ガス発生が多い食物摂取)B腸壁の循 環障害に基づくガス吸収の障害(動脈硬化症など) C腸管の蠕動不良(運動 不足・体動が少ない・腸炎・潰瘍など)、D通過障害によるガス排泄の異常( 開腹手術後の腸管癒着、大腸がんなど)です。ご質問の方は、胃腸の検査で異 常がないので、@やCなどが原因ではないかと考えられます。
 日常的に注意することは、規則正しい食事と適度な運動、健康的な生活スタ イルをめざすことです。食事はゆっくり良く噛んで時間をかけること、夜食は しないこと。食事の内容として、消化のよいものを選ぶ。食物繊維の多いイモ ・豆類を控えたり、脂肪分を避ける。香辛料、炭酸飲料やアルコール(特にビー ル)の摂取なども制限した方がよいでしょう。チューインガムや喫煙、かみ合 わせの悪い義歯なども原因になることがあり、注意しましょう。
 日常生活では、心身のリラックスをはかり、健康運動の励行、便通の調整、 睡眠の確保が重要です。早朝の散歩も奨励できます。朝起きたら15分程度の 散歩を心がけ、その後に体操して、朝食をしっかり食べ、仕事が終わった後は 入浴で疲れをとり、夕食は軽くし、十分に睡眠をとる−−健康的な生活スタ イルに近づけることです。