ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「帯状疱疹の原因と病状について」

Q「友人が帯状疱疹で2カ月ほど入院しました。よく聞く病名ですが、 なにが原因で、どんな病気なのでしょうか。また、日ごろから注意す ることがあれば教えて下さい。」    (神奈川・K)

Aご友人が、入院なさったとは、かなり重かったのでしょうね。一般に、多くの帯状疱疹は、抗ウイルス薬、消炎鎮痛薬などの内服治療や軟膏塗布 など、外来で治療します。
 しかし、強い痛み、高熱、頭痛や吐き気などの場合には、入院治療が必要になるわけです。  まず帯状疱疹の原因ですが、ヘルペス・ゾスターウイルス(水痘ー帯状 疱疹ウイルス)による感染症です。これは子供の頃によくかかる水痘(みずぼうそう)と同じウイルスで、水痘が治癒した後も身体の中の神経節と言う場所にずっと潜んでおり、中年から高齢者で、抵抗力が弱まった時に、帯状疱疹として発病させるものです。
 症状の特徴は、体の片側に、神経に沿い帯状に、赤い発疹と水ぶくれ (疱疹)ができ、痛みを伴うことです。できやすい場所は、肋間(ろっ かん)神経のある胸から背中、お腹などで、顔や頭、手足にもみられま す。一般に、チクチクするような痛みから始まり、しばらくすると皮膚が ブツブツし、ミミズ腫れ様になったり、中に小さな水ぶくれが広がってき ます。やがて水ぶくれは、かさぶたとなって治ります。皮膚症状が続く 期間は、約3週間〜1カ月間で、強い痛みを伴います。始めは、刺すよう な鋭い痛みで、しだいに服がすれるような刺激でもピリピリと痛むことが あります。殆んどは、疱疹が治ると痛みも消えますが、時には痛みが残ってしまうことがあります。これが、高齢者に多い「帯状疱疹後神経痛」 です。
 帯状疱疹は加齢、病気、疲労、ストレスなどで身体の抵抗力が落ち、 潜んでいたウイルスが活動し始めることで起こります。つまり外部からの 伝染による感染症ではないので、帯状疱疹を予防するワクチンなどの方法 はありません。日ごろから注意することは、栄養と睡眠を充分にとり、 適度に運動を行うなど、心身の健康に気を配り体力を低下させないことです。 どんな病気でもおなじですが、帯状疱疹の場合も、なるべく初期に治療を 始めたほうが早く治ります。