ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「寝酒に頼ってしまうが、熟睡できない」

Q「寝つきが悪いので、寝る前についお酒を飲んでしまいます。夜中に目が覚めたり、明け方に目が覚めたりして、熟睡できません。寝酒はよくないと聞きますが、睡眠と関係があるのでしょうか?  長野・男性」 

 
A ”よくないと思いつつ、寝酒に頼ってしまうが、熟睡できない”、とは、お困りのご様子ですね。結論から、申しあげますと、このまま「寝酒」をお続けになることは、決して好ましくありません。是非、かかりつけ医か、メンタルクリニックなどに受診されて、不眠症の治療についてご相談なさることを、お勧めします。
 まず、”寝つきが悪い”点についてですが、寝酒をしないと眠れない状態が続いているようですので、これは睡眠障害(不眠症)の状態にあると言わざるを得ず、入眠障害と分類される一種の病的状態にあると思われます。
 不眠症対策について、ある国際的な調査によりますと、欧州などは病院に受診と答えた人が5割に及ぶのに対し、日本は大変少なくたったの8%位だったとのことです。又、「不眠解消にアルコールを飲む」と回答した人は日本人の3割に達しておりました。つまり日本では不眠を病気ととらえずに、ご質問者のようにアルコールの力を借りようとする方が多い実態があると思われます。
 アルコールの作用からは、確かに脳神経をマヒさせる効果もありますので、適量では眠気を誘い 寝付きがよくなることはあります。しかし、その効果は短時間しかなく、効果が切れるとかえって睡眠が浅くなったり、途中で目が覚めやすくなってしまうのです。まさに、ご質問者の状態どうりなのです。
 そして、自然の睡眠とは違って無理に眠り込ませようとするようなものなので、良質の睡眠ではなく、睡眠による疲労回復などの効果も十分得られないのです。またアルコールを連用していると次第に慣れてくる「耐性」が起きて効かなくなってくるために「寝酒」の量が増えてきて、アルコール依存症に陥ってしまう危険性も高くなります。「寝酒」に頼っている状態は、以上のように、早急に改善しなくてはいけないことを、ご忠告申し上げます。