ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

Q/A『片手がふるえますが--』  2000年10月 

 Q ときどき片手がふるえてきます。しばらくするとなおるのですが、心配です。神経的なものといわれますが、そうでしょうか?(54歳・男)

 A:ご質問の「手がふるえ、神経的なものといわれている」のは、他に障害がないとすれば、「本態性振戦」(ほんたいせいしんせん)と思われます。特徴は、手や指に震え(振戦)だけがきて、その他の神経障害(麻痺、ふらつき、筋肉が固くなるなど)がない病気です。ハシで食事をするときや、字を書くときに震えたりするので受診する方が多く、頭や首が左右にふれたり、声も震えることがあります。発症は成人期で,しばしば家族性に出るようです。
 手が震える病気として有名なパーキンソン病との区別が問題になります。本態性振戦は、震えが細かく姿勢や動作によって強くなるものです。一方パーキンソン病は、丸薬を丸める動作に似た震えで、安静時に強くなり(静止振戦)、歩行障害や自律神経障害が見られることも多いものです。その他、甲状腺機能亢進症・うつ病・脊髄小脳変性症などでも手の震えが来ますので、その診察も必要になります。
 原因は不明で,精神的緊張やストレスによリ震えがひどくなりますので,精神安定剤の投与でも効果が見られる場合があります。
 予後は良く、,生命に危険を及ぼすようなことはないので,過度に心配することはありません。しかしひどいと食事に制限がでて、栄養不良の原因になることもあるようです。また、パーキンソン病が続発することもあると言われていますので、診察を受けられることが必要です。
 治療としては β2庶断剤という薬が有効なことがあり,喘息や糖尿病がなければ使用します。それが無効ならば坑てんかん薬などを使用します。激しい振戦の続く場合は,ブロック療法も試みられますが,専門の麻酔医などに依頼することになります。