東北関東大震災・大津波災害と福島第1原発災害にあたって

 


2011年3月22日
ニューク・エフェクト・ジャパン・プロジェクトHPに掲載

日本原水爆被害者団体協議会 事務局長
田中 煕巳氏の談話

 東北関東大震災・大津波災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、家族や家屋、職場をなくされた多くの被災者の方々へ心からお見舞い申し上げます。

 東北沿岸の大津波の被害を見るにつけ、66年前の広島、長崎の原爆の惨禍を想起します。

 1945年の8月6日と9日にアメリカ軍が投下した原爆は、爆風と熱線により30万人近い住民の都市を壊滅させ、同時に強力な放射線と放射性降下物からの 残留放射能で地獄を生み出しました。生きながらえた被爆者は家族、友人、住む家も失い、職場も学校も失って、悲嘆のどん底に陥れられながら、多くの苦しみ を一つひとつ乗り越えて、広島、長崎をよみがえらせました。

 放射線の健康に与える影響に不安を抱き続けてきた被爆者は、同じ苦しみを地球上の誰にも決して味わわせてはならないと核兵器のすみやかな廃絶を求め続けてきました。この使命感が被爆者に生きる力を与えてくれました。

 被爆者の生き様が大震災、大津波の被害者の励ましに役立てればと思います。

 事故後まもなく、海外メディアの取材が殺到しました。これらの取材に対して、被爆者は大津波の災害を原爆の被害と引き比べて心を痛めていること、原発の事故については、「安全神話」を振りまいてきた政府と東京電力が情報を隠し続けていることへの怒りを話しました。

 原子力エネルギー利用に100%の安全性はありえません。万が一でも事故があれば原子力は取り返しが付かない被害をもたらします。

 核兵器も存在する限り、どんな事故が起こるか知れません。しかも、抑止力として使用も辞さないとする核兵器国がある限り、2万発以上が存在する核兵器の廃絶を急がなければなりません。