A さる8月25日に、国立感染症研究所感染症疫学センターから「麻疹に関する緊急情報」が発表されました。全国各地で麻疹の患者報告が相次いでおり、今年は特にアジアの国々(インドネシア、モンゴル等)に渡航歴のある患者の届出報告が目立っているようです。
関西国際空港で麻疹の感染が広がっており、8月中旬以降に感染が確認されたのは関空の従業員を含めて計39人に上っています。そして、9月20日、国立感染症研究所は、2016年のはしか(麻疹)の報告数が全国で115人になったと発表し、1週間前の発表より33人増えています。全国で100人を超えたのは14年(462人)以来2年ぶりで、内訳は大阪府43人(17人増)、兵庫県21人(11人増)、千葉県21人(3人増)?などで、感染者のうち20代が4割、30代が2割を占めています。すでに昨年1年間の報告数(35人)を超えており、厚生労働省などは注意を呼びかけています。
また31日には、厚生労働省の専門家会議が、緊急会合を開き「ワクチンの接種が不十分な人は、早急に接種してほしい」と呼び掛けました。麻しんが流行している国に渡航する前には、必ず麻疹ワクチンの接種歴を確認し、未接種で未罹患の場合は、接種してから、渡航するように注意を喚起しています。はしかは高熱や発疹が特徴で、空気感染で広がります。潜伏期間は1週間から10日程度で、感染後でも発症前にワクチンを打つと有効とされています。
麻疹の初期症状は、発熱とカタル症状(咳、鼻水、眼球結膜の充血等)です。これらが数日続いた後、口腔内に麻疹に特徴的とされる白い粘膜疹(コプリック斑)が現れます。コプリック斑が出現すると、一旦体温は下がったかのように見えますが、すぐに高熱となり、体に赤い発疹が出始めて、全身に広がります。
予防法ですが、麻疹の感染力は強く、空気感染もしますので、手洗い、マスクのみで予防はできません。唯一、麻疹ワクチンが有効な予防法だといえます。麻疹の患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの予防接種をすることも効果的であると考えられています。接触後5、6日以内であればγ-グロブリンの注射で発症を抑えることができる可能性がありますが、安易にとれる方法ではありません。詳しくは、かかりつけの医師とご相談ください。
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