ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

 プール熱 

Q 「小学校3年生の孫がいます。水泳が得意で友人とよくプールに通っています。 最近、孫の友人の間で高熱やのどの炎症、目やになどの症状が出ているそうです。 プール熱などの対処を教えてください。(兵庫・G)」


A お孫さんの友人の間ではやっているのは、確かにプール熱とおもわれます。

 プール熱とは、アデノウィルス(以下アデノと略)を原因とした咽頭結膜熱のことです。毎年、夏季を中心に流行しますし、乳幼児から学童などに多い風邪のひとつといえます。夏にプ-ルの水を介してうつることからプール熱ともよばれていますが、必ずしもプールに入らなくてもうつりますし、夏以外にもみられる場合もあります。

 原因のアデノですが、感染しますと、眼や喉に炎症を起こすのが特徴で、咽頭炎(喉の痛み)、結膜炎(眼の充血・痛み・目脂)、そして発熱を発症させます。この3症状が出やすいので、咽頭結膜熱ともいわれています。しかし、3症状全てが現われない、不完全なケースもあります。また、高熱が3日~5日前後続く場合も少なくありませんが、喉の拭い液でのアデノ迅速検査で診断を確定できれば、高熱が続くからと言って、抗生物質を使う必要はありません。その理由は、ウィルスには、抗生剤が効かないからです。

 このようにウィルス感染による風邪に直接効く薬は殆んどありませんので、プール熱に効く薬もありません。したがって医師からアデノ(プール熱)に感染しているといわれた時は、他の風邪とおなじで「安静」と「水分補給」が大切です。

アデノは、実は50種もあって、このプール熱をおこす型は感染力がとても強いので、学校保健法では、熱が下がり症状がなくなっても、二日をすぎるまでは登園・登校禁止となります。潜伏期間は5~7日です。治ってからも、咽頭からは2週間、便からは4週間も、ウィルスが排泄され続けますので、注意は続けたいものです。塩素濃度の管理が不十分なプールに入ることでも感染がおこりえます。この時期プールに入った後は いつもより念入りに、うがい・眼の洗浄をしっかりと行ってください。