ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

鼻血

Q 「49歳になります(男性・独身)。編集の仕事をしていますが夕方や夜の早い時間帯、起床して顔を洗おうとすると鼻から出血することが増えました。仕事などで特にストレスを感じることはないのですが。(東京・K)」


A 鼻出血(以下、鼻血)が増えて、しかも夕方などの起床時に出るとは、お仕事が随分不規則ですね。ストレスは感じてなくても、身体には大分負担がかかっているのかもしれません。鼻血について、その特徴や原因などについて、概説いたしましょう。(なお、高血圧との関係については、2015年8月の当コーナーで解説しております。)

 まず鼻血のおきやすい場所ですが、最も多いのがキ-ゼルバッハ部位と言われる所で、なんと8割にも及びます。ここは、鼻中隔(左右の鼻を分けているしきり)の先端部、入口から1cm程入った所です。医学用語で恐縮ですが、とても有名な場所で、また質問者の出血も、多分ここからでしょうから、ご記憶頂ければと思います。この部位は、血管が網の目状になり表面に浮き出ているので、くり返し出血しやすいのです。

 鼻血の世代別特徴は、幼児期から小学校低学年によくみられ、一般に5~8月の初夏から夏に多い傾向で、殆どが病気でない心配のない鼻血です。一方成人の場合は、空気の乾燥する冬に多く、何らかの基礎疾患も疑われますので、病・医院への受診が必要です。

  鼻血の原因ですが、大きく分けて、1)局所的要因(鼻の中に病気がある)と2)全身的要因(鼻の外に病気がある)とに分かれます。1)は、①鼻内乾燥や湿疹による粘膜損傷、②鼻茸など腫瘍、③感冒などでの炎症やアレルギー性鼻炎、④鼻粘膜や鼻中隔の外傷、⑤くしゃみや鼻を強く嚊むことによる粘膜損傷、⑥化学薬品による腐蝕(ボタン型電池など)などです。 2)は、①血友病・紫斑病・貧血・白血病などの血液疾患、②Osler病、③抗凝固薬(ヘパリン・ワルファリンなど)服用、④肝機能障害、⑤腎不全、⑥高血圧、一過性血圧上昇、⑦代償性月経、その他です。

 鼻血を繰り返す様でしたら、耳鼻科か、かかかりつけ医へ、ご受診なさって下さい。