ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

エコノミー症候群の対策

Q 「私の友人が、熊本地震で家屋が半壊しました。ペットがいるため避難所には行かず車中で過ごしているそうです。足のむくみがひどくなったと連絡がありました。エコノミー症候群の対策などご教示ください。(山口・Y)」


A 5月14日で発生から1カ月を迎える熊本地震。この地震により死傷された方が多数おられて、現在もなお避難されている方が、1万人以上に上ると、被災者の方々のご苦労は、如何ばかりかと心が痛みます。そして、ご友人の様な車中生活避難の方々に、確かにエコノミー症候群の心配があります。

 エコノミー症候群は、飛行機のエコノミークラス席や自動車の中などで長時間、狭い椅子に座ったままの状態でいることから惹き起こされる病気です。正式名は「深部静脈血栓症/肺塞栓症」で、ファーストクラス席でも発生する危険性があり、鍛え上げられたスポーツ選手にでも発症することがあります。

 この血栓症は、車中や避難所でも座り続けると出来やすくなるとされており、特に注意が必要な方は、高齢者、車中泊でトイレを我慢しがちな女性、血栓症・心筋梗塞などがある方、足をけがした人、糖尿病・高血圧・脂質症などの生活習慣病のある方、肥満の人、妊娠中・出産直後の方、経口避妊薬(ピル)内服者などです。

 予防対策としては、@座席での姿勢など、A足の運動 B水分補給などです。@車の座席に座った姿勢では長時間眠らない事。血行が悪くなるので足は組まないようにして、時々足を伸ばす。出来れば1〜2時間毎に席を立ち、少し離れたトイレなどへ歩く。A座席では、かかとの上下運動を1時間に3〜5分程度、20〜30回ほど行う。足や足の指をこまめに動かす、足首の運動や下肢のマッサージを行う。スペースを見つけ、軽く足の屈伸運動をする。B十分な水分補給などが大事で、こまめにコップ半分ほどの水お茶、イオン飲料、ジュース等を補給する。アルコールやコーヒーは、利尿作用のため脱水の原因となるので注意する。伸縮性のある衣服を着る(ウエスト等を締め付けない)。睡眠薬は出来る限り使用しない、禁煙が望ましい、などです。