ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

ジカ熱について

Q 「取引先との打ち合わせでブラジルに渡航予定です。都市部を回る予定ですが今、話題のジカ熱ですが心配です。出国前にできる予防・対策があればご教示下さい。」


A ジカ熱が、にわかに話題になっていますね。私も、全く初耳の感染症ですが、世界保健機関(WHO)が2月1日に、「緊急事態宣言」をして注目されました。

 WHOは、中南米等に流行しているジカ熱に妊婦が感染すると、脳の発育が不十分な「小頭症」児が生まれる恐れがある「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」だと判断したのです。そして、各国にジカ熱感染の監視強化や流行拡大を防ぐ措置、ワクチン開発研究などを勧告したのです。

 厚労省の発表や報道によると、ジカ熱とは熱帯に生息するネッタイシマカなどの蚊が媒介するウイルス感染症です。すなわち、流行地で、蚊に刺されるとかかる伝染病だということです。ジカ熱にかかると、微熱や発疹、筋肉・関節痛、頭痛などの症状が出ますが、重症化することは殆どないようです。2〜7日後には自然治癒する比較的予後良好の感染症です。又、感染者の約8割が無症状なので、気付きにくい感染症でもあります。しかし問題は、妊婦が感染した場合で、小頭症という先天奇形の発症が心配されているわけです。

 WHOによると、今回の感染は昨年5月にブラジルで確認され、25の国・地域に拡大しています。ブラジルでは昨年10月以降、約4千件の小頭症(疑い例含む)の新生児が報告され、うち270件で妊婦のジカ熱感染が確認されているのです。ブラジルの保健省は、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表をしており、今年8月にリオデジャネイロ五輪の開幕を控えたブラジル政府が対策を強めているのです。

 出国前にできる予防・対策ですが、ワクチンや有効な治療薬はありませんので、「蚊に刺されないよう」にする注意と対策が重要です。即ち、できるだけ肌を露出しないように長袖・長ズボンの着用と、蚊対策の虫よけ剤準備も必要です。流行地に入る時は、しっかりと備えましょう。妊婦さん同行は勿論ダメです。