A 牡蠣の季節ですね。生で食べると当りますが、その多くがノロウイルス食中毒です。ご質問者の熱・嘔吐・下痢の症状は、正にこの症状で、生牡蠣食中毒として話題になってきました。また感染力が強く、保育園や学校、高齢者施設等での集団発生として社会問題化しています。平成25年12月に、給食に出た食パンを原因とし千人以上に発生した浜松市の小学校での集団食中毒には驚かされましたね。翌月には、当コーナーで「ノロウィルスの予防と対応」として、「予防は手洗い、2回洗うことが一番」と説明しております。
牡蠣にはノロウイルスが多く含まれ、それを生食するので食中毒に罹ってしまいます。実は他の多くの二枚貝にもノロは保有されていますが、生食習慣がある牡蠣で発生するのです。ノロの宿主(ウイルスが中心に住んで、増殖する所)が牡蠣なのではと思うでしょうが、実は我々ヒトこそが宿主なのです。ヒトが排出したノロが、下水を通って海に流れ込み、大量の水を浄化する機能をもつ二枚貝、特にその作用が強い牡蠣が、その浄化過程で、ノロを大量に濃縮保有してしまうのです。それを人間が食べて、胃腸炎となり、さらに牡蠣の汚染を増やしているのです。
治療法ですが、現在ノロウイルスに有効な抗ウイルス薬やワクチンはなく、強い症状を緩和するための投薬、点滴などが行われます。使われる薬は、制吐剤、整腸剤などですが、注意したいのは、下痢止め薬の使用は、腸の排菌機能を遅らせ逆効果だということです。そして重要なのは脱水症対策で、抵抗力が弱っている高齢者と幼児に、十分な水分補給と、点滴も有効です。働き盛りの方でも症状が重い場合は、点滴を行うと早く回復すると思われます。症状が1〜2日続いた後に、後遺症もなく自然に治癒し、重症化しない胃腸炎ですので、受診して必要な投薬を受け、水分を十分に取り、必要に応じて点滴も受けましょう。かかりつけ医にご相談下さい。
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