A 手足の壊死などが急速に進行し、高い致死率となる "人食いバクテリア"「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者が、今年は過去最高になったと話題になっています。この感染症は、平成4年に日本で初めて報告された新しい病気で、発症例は少なく、10年間位は日本全国で年間50人前後でした。しかし、その後100人前後になり、最近5年位は200人前後と倍増していました。それが昨年は250人位へ、今年には8月初めに290人を超えているのです。希な病気ですが、急増しており、その激しく早い経過と死亡率が3割と大変高いので、注目を浴びてきています。
この病気の原因は、「A群溶血性レンサ球菌」というバクテリア(=細菌)です。実はこれは、子供などの喉に強い炎症をおこす溶連菌感染症("ようれんきん"は小児科では実にお馴染)と同じ菌です。つまり風邪の一つで、小学校・保育園などでもしばしば集団発生します。しかし、これがなぜ劇症化するのか、原因は不明であり、感染経路も判らない、謎の病気です。
症状ですが、前駆症状(風邪症状、咽頭痛、発熱、食欲不振、吐き気、下痢、全身倦怠感など)がある場合と、明らかな前ぶれなく突然発症する例もあるようです。その後、人食いバクテリアと言われるような手足の壊死、数センチの腫れが数時間でみるみるうちに広がり、激しい痛みや、38度以上の発熱、ふるえ、悪寒などが出て、ショック状態、多臓器不全などを併発し死に至るのです。進行が早く、手足の壊死が1時間でどんどん進むこともあり、死亡者の4割が発病当日か翌日で、7割以上の方が3日以内に亡くなっておられます。
対策ですが、基本的には手洗い、うがいでの予防と、外傷対策です。小さなけがでも、消毒して病原菌感染を予防する、水虫の場所からも感染しやすいので、特に糖尿病など持病のある人や高齢者は、傷が化膿(かのう)したらすぐに治療を受けた方が良いでしょう。
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