ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

高血圧で、鼻血が止まらない、言葉が出ない

Q 「景気が悪く本業のほかに深夜のアルバイトをこなしています。高血圧ですが、鼻血が止まらない時があります。パソコン入力もままならず、言葉が出ないときも。受診したいのですが、国保税が払えず、時間もなく受診中断しています。(大分・G)」


A 本業と深夜バイトとは、大変な長時間労働ですね。また高血圧がありながら、税の支払い困難と時間もなく、治療中断されている由、極めて困難な生活の実態に驚き、また健康状態をとても心配しております。

 まず、「鼻血が止まらない時がある」点についてですが、高血圧が原因の鼻血はそう多くはありませんが、通常の鼻血と比べて出血量が多く、長く出血する傾向にあるようです。血管が脆くなっている事と、また血圧が高いので出血の勢いも強くなると考えられます。鼻血が出やすい方は、腎性高血圧(腎実質性と腎血管性の二種)の可能性も念頭に置く必要があります。腎性高血圧は、腎障害が原因となって発症する二次性高血圧で、高血圧の原因の3−8%を占めています。

 高血圧の9割は原因不明の本態性高血圧ですが、他が二次性高血圧(腎性、内分泌性、薬剤性など原因が明確なもの)です。二次性高血圧は、原因の病気をしっかりと治療しないと、通常の降圧剤治療だけでは、コントロールできなかったり、腎臓病や内分泌病などが悪化していけば、重大な病状になる危険があります。従って、尿に蛋白や血液が出たり、血液検査で、腎機能低下やK、Caの異常、そして内分泌の変化が認められたり、また血圧のコントロールが不良の場合などは、二次性高血圧を疑っての諸検査が必要です。

 さて「言葉が出ない」との症状ですが、これは、構語障害(言葉を発する筋肉などの障害)か失語症(言葉の脳中枢の障害)の症状である可能性が心配されます。症状が一時的ですので、血流障害・一過性虚血が原因かと思われますが、その元の原因は高血圧と脳動脈硬化が心配されます。高血圧の治療と、動脈硬化の原因となる脂質症・糖尿病などないか、確認して、しっかりと治療していく必要があります。至急受診なさってください。