A 胃がん検診に関しては、最近ショッキングな報道がありました。5月に群馬での胃がんX線検診で、58才の外国人女性が、検診車内の台に乗り、頭部を下にして傾いた状態の時に、落ちて壁との間に頭を挟まれ死亡した事故です。検診車での胃X線検査は、事故を注意しながら、多人数を一定時間内に終える必要があります。ぐるぐる回されたり、半逆立ち状態など患者負担が強く、バリウムや発泡剤を飲むのも気持ち悪いものです。又かなり大量に被ばくさせ、しかも、がんの発見精度は、内視鏡に比べれば数段と落ちると、問題点ばかり目立つのが胃がんX線検診です。
胃がん検診に関するもうひとつのトピックスは、この4月発表の胃がん検診ガイドライン(2014年度版)です。ここで、胃内視鏡検査の有効性が確認されたとし、対策型がん検診(住民検診型)・ 任意型がん検診(人間ドック型)での内視鏡検査を推奨するとされました。それ以前の2005年度版では胃内視鏡検査は、証拠が不十分であるため対策型検診としては推奨されていなかったのですが、今回初めて胃内視鏡検査も胃がん検診に推奨されることになったので、一歩前進だと思われます。
又このガイドラインでは推奨されなかったが、最近注目されているのが、胃がんリスク検診(ABC検診)です。これはピロリ菌感染の有無と胃粘膜萎縮の程度を測定し、被験者が胃がんになりやすい状態かどうかをA〜Dの4群に分類する新しい検診法です。胃X線検査に抵抗がある人にはお勧めです。胃がん発症のリスクが高いC群とD群に絞って精密検査を行えば、胃がんの発見率は従来行われていたX線検診よりも高くなります。そして費用も少なく、血液検査なので特定検診などと同時に行なえるものです。これから益々多くの自治体で導入が進むものと考えられます。
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