ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

飲酒問題

Q 「私は50代(女性)で、工場の従業員を3〜4人束ねる立場です。忘年会から新年会など酒席が重なる年も続き目の白い部分が黄色くなってきました。一般的に女性は男性と比較してアルコールが弱いとされています。原因と対処方法、適量を教示下さい。(高知・J)」


A アルコール多飲で、白目の部分(眼球結膜と呼びます)が黄色くなってきた(黄疸です)とのことですね。質問者の病状ですが、まず疑われるのは、ご心配のようにアルコール性肝障害で黄疸を伴ってきている場合です。

 アルコールの過剰摂取で初期に出てくるのは、アルコール性脂肪肝ですが、それは全く無症状で、黄疸も出ません。さらに飲酒を続けると、肝炎、肝繊維症、そして肝硬変、肝癌へと進行していきます。その中で黄疸を伴うのは、重症型アルコール性肝炎(1カ月以内に死亡する)、アルコール性肝硬変(腹水・出血などを伴う)、そしてアルコール性肝癌の3つが想定されますが、いずれも重症な病態です。

 さて黄疸が出てくる他の原因ですが、肝障害の場合は、肝炎ウイルス感染が重なっている場合も考えられます。また、他の疾患、例えば貧血(溶血性)、胆道系疾患なども否定できません。ご質問者が、もし未受診であれば、まずはかかりつけ医または消化器専門の外来を受診して、原因疾患の診断と治療方針を確定することがすぐ必要です。

 対処方法ですが、お読みかもしれませんが、昨年6月のこの欄で、50代の男性で腹水もたまり始めているアルコール性肝硬変、対応法は?との質問がありました。結論として、"何が何でも禁酒"が重要で「お酒をやめない限り、命とりに」という回答をさせて頂きました。肝硬変の診断がついていて、治療しているが禁酒できない方ですので、極めて厳しい内容となりました。ご質問者の場合も、アルコール性肝疾患であれば、全く同様に「禁酒」で、適量はありません。もし肝疾患でない他の病気の場合は、適量として、男性の場合の半分以下が目安となります。いずれにせよ早急に、受診なさって、指示を受けることが、第一ですね。お大事になさってください。