ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

呂律が回らない

Q 「結婚式などの司会を営む50代の女性です。最近、右の顔面や腕が20秒ほど痺れることが増えました。「滑舌が最近よくない」時には「呂律がまわっていない」と夫から指摘されることが多くなりました。頭痛も続いていますが、何かよくない症状の前触れでしょうか(兵庫・S様)」


A 様々な症状が出てきて、病気の前触れなのかご心配の様子ですね。ご質問の4つの症状を、頻度別に分けますと、@顔面や腕の痺れ(時々ある)、A呂律が回らないこと(多くなった)、そしてB頭痛(続いている)の3つに分けられます。これらは、いずれも脳神経関係であり、何らかの病気が始まっている可能性も否定できませんので、ぜひ神経内科や脳外科をご受診ください。専門医による、診察・検査が至急必要な状態だと思います。

 ここでは、症状ごとに、どういう病気が疑われるか、ご説明いたしましょう。

 まず@ですが、実は「しびれ」は、様々な意味の表現なので、どういう内容をもっているのか問診で十分に確かめる必要があるものです。例えば、ビリビリ・ジンジンと表現される異常感覚、感覚が鈍いとか過敏とかの感覚異常、正座後の運動麻痺などの場合もあります。質問者の場合は、20秒ほどの一時的なものなので、脳や脊髄の血流障害か、腫瘤などによる圧迫の始まりなのか、前触れの可能性があるかと思われます。一方、気にしすぎている場合もありえます。

 Aですが、仕事関連では、もっともご心配な症状かと思われます。舌の動きが悪くなる場合や、顔面神経のまひ、失語症などの場合があります。舌やのどの動きが悪くなって出てくる言語障害を構音障害と言い、言語中枢がある左の大脳の障害によっておきるものを失語症と言い、右半身の運動麻痺・感覚障害が伴うことがあります。原因としては脳梗塞や腫瘍などの前触れの心配も否定できません。

 Bは以前より続いているものですので、@Aとは原因が別と思われます。一番多い頭痛は、緊張型頭痛で、ストレスにより出てきますので、@Aを心配したストレスが原因となっている可能性が高い感じです。

 いずれにせよ早めにご受診ください。