A 女性の「更年期障害」とは、更年期に出る様々な症状の中で、器質的疾患(内臓や精神神経などの病気)を原因としない症状(「更年期症状」)のうち、「日常生活に支障をきたす病態」と定義されています。そもそも更年期とは、女性の月経(生理)が終わる閉経(45〜55歳頃)の前後5年間ほどを指しますが、卵巣機能の低下によって女性ホルモン(エストロゲン)が欠乏してくる時期なのです。そのホルモン減少が原因で、心身が不調となり、「更年期障害」と診断されるのは、更年期女性の2−3割です。
女性の更年期障害の症状は、 @のぼせ・ほてり(ホットフラッシュ)、発汗、動悸、冷え、疲れやすさ等の血管運動神経症状、A憂うつ感、不安感、不眠、頭痛、めまいなどの精神神経症状、 B肩こり、腰痛、背痛、関節痛、しびれ、冷えなどの運動器症状、C吐き気、食欲不振、便秘などの消化器症状等、実に多彩です。
代表的な症状は、@のホットフラッシュと発汗異常で、エストロゲン欠乏との関係が明らかとされているものです。閉経女性の4〜8割に認められますが、治療が必要なのは、2〜3割位とされています。
また、Aのうつ状態は、更年期障害によるものか、それとも更年期発症のうつ病かの区別が重要です。自死念慮がある場合や強い不定愁訴などで、一方ホットフラッシュが弱い場合は、うつ病の可能性がありますので、早めの精神科受診も必要です。
治療としては、@の血管運動神経症状が主体の場合は、ホルモン補充療法、漢方薬などが中心となりますが、副作用の問題もあり、専門医にご相談ください。またAの精神神経症状が主体の場合は、向精神薬やカウンセリングが中心となります。全てに治療が必要なわけではありませんが、少しでもつらい場合は、かかりつけ医に相談して、適切な治療をお受けください。
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