ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

日脳ワクチン接種について

Q 「日本脳炎のワクチン接種ですが、3回接種することで大人になっても効果はあるのでしょうか。7歳と5歳の子どもがいますが、ワクチンの接種は親の裁量で受けるか受けないかは選んでいいのでしょうか。副作用なども心配です。」


A 日本脳炎(以下、日脳と略)は、最近の患者発生数は、1年に数名だけで、主に高齢者です。この要因は、@小児・学童などのワクチン接種率が高水準、A蚊が減り、刺されなくなっている2点と思われます。しかし日脳ウィルスは未だ消滅しておらず、自然感染は続いています。又アジア地域では、現在も大流行がみられています。

 日脳ウイルスは、コガタアカイエカにより人・豚などで伝播します。そして感染した人の0.1%から1%に日脳を発症し、高熱・意識障害・けいれん等の急性脳炎症状となります。そして死亡率が17%、後遺症も5割と重篤な経過となります。

 現在の日脳予防接種は、生後6ケ月から90ケ月の乳幼児に1期(基礎免疫)、9歳以上13歳未満の児童に2期接種です。1期の3回接種で100%の抗体が得られますが、年齢を経ると免疫低下が心配され、2期の接種が推奨されています。又2期だけの接種では、20歳時点で抗体陰性となる場合があり、免疫維持には5〜10年ごとの追加接種が必要といわれています。

 日脳予防接種は、平成17年から積極的勧奨が控えられていましたが、平成22年からは、新しいワクチンに変更され、再び積極的な勧奨となっています。これは、市町村が「接種を積極的に呼びかける取り組みをする」、「接種料金の負担は無料」「万が一の副作用が出ても健康被害救済の対象」という意味で、受けるか受けないかは、勿論ご家族の裁量です。

 日脳ワクチンの副作用ですが、平成24年度の報告では、一年間に146名の発熱者などです。接種後の死亡例2名の報告がありましたが、その後の検討で明確な因果関係は認められなかったとされています。

 制度の変更で、接種機会を逃した方の特例措置(平成7年〜21年生まれの方)もあります。ご希望の方はかかりつけ医にご相談ください。