A 手術後の後遺症に関する相談ですね。ご心配の輸血とレントゲンの後遺症(副作用)について説明いたします。
まず、輸血の副作用ですが、輸血後ただちに起きる急性型副作用と遅れて見られる遅発型副作用とに分けられます(難しい医学用語が並びますが、ご容赦ください)。急性型としては、溶血性副作用・非溶血性発熱反応・細菌感染・アナフィラキシー反応等々があります。質問者は輸血後一定経過されていますので、注意が必要なのは、以下の遅発型かと思われます。
遅発性溶血性反応→@ 輸血後GVHD→A 輸血後肝炎→B等です。@=輸血後3〜7日後に、発熱、貧血、中度度の黄疸が発生するもの。A=輸血後 7〜14 日頃に発熱,紅斑,下痢,肝機能障害及び汎血球減少症を発症するGVDHで、その予防策として放射線照射血液の使用が有効。その徹底により2000年以降の報告はなくなっている。B=早ければ輸血後2〜3か月以内に発症,肝炎の臨床症状あるいは肝機能の異常所見や肝炎ウイルスの感染などで診断されます。
次に、レントゲン検査の影響ですが、放射線被曝による副作用(医療被曝)です。質問者は、レントゲン検査を20回以上受けたとのことですが、股関節のレントゲン検査の被曝線量は、0.39mSv/回とされています。従って20回だと8mSvになり、もし骨盤CT検査(10mSv/回)も受けていれば合計被曝線量は17mSv位と推測されます(高木学校研究Gr資料より)。
一昨年の福島原発事故後の報道のように、一般個人の年間線量限度1mSv以下と定めたICRP(国際放射線防護委員会)勧告では、放射線作業従事者は50mSv以下と決められています。その3分の1位を短時間に浴びたわけで、予防の観点からは、今後の医療被曝等はなるべく避けられた方が良いかと、私は考えます。
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