ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

高齢者の熱中症対策

Q 「夫(69歳)を家で介護しています。風通しの良い部屋で一日寝て過ごしています。エアコンを嫌い、熱中症の心配をしています。水分を取るようには促していますが、部屋は何度ぐらいに保ったらいいでしょうか。(女性)」


A 猛暑が続いています。高齢者を介護されていると、室内熱中症が心配ですよね。消防庁のまとめでは、5月末からの6週間に、熱中症で救急搬送されたのは、全国で7千人余。昨年同時期の、実に2.4倍にも急増しています。その内、65歳以上の高齢者が、半数を占めています。救急医学会の昨年調査では、室内熱中症となり、搬送された方のエアコン使用状況は、65歳以上では「停止中」が53%を占めていたのです。

 そもそも、高齢者が熱中症になりやすいのは、体の中の水分量が、若者と比べると少なく、脱水状態に陥りやすいためです。そして、暑さの感覚が鈍くなり、喉の渇きも感じにくく、体温の調節機能が低下するのです。「さほど暑くない」とか、「水分は欲しくない」などとなりがちです。さらに、「防犯のために部屋を閉めている」、「窓からは日差しが差し込んでも暑くない」等で、部屋が高温多湿となり、熱中症になりやすくなります。又、「冷房が体に障る」「電気代がもったいない」など"エアコン嫌い"で、設置しても使わないために熱中症となるケースが目立つようです。

 さて、御質問の「望ましい室温」についてですが、環境省は、室温が28度を超えないよう呼びかけています。扇風機を併用して直接エアコンの風を当てない注意、温度上昇や冷やしすぎを防ぐため、手元に温度計を置くことも勧めています。冷たい空気は下に降りてくるので、部屋の天井付近に送風するだけでも部屋全体を冷やすことが出来ます。エアコンを上手に活用して、暑さを和らぎましょう。蒸し暑さを感じなくても、室温とともに、できれば湿度も確認し、湿度が50〜60%位になるように調節しましょう。このように、エアコンが嫌いな方には、温度・湿度を目に見えるようにして、その調節のためにエアコンなどの使用を納得してもらうことも一方です。