ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

寒暖アレルギーが流行っていますか?

Q 「花粉もだいぶ楽になったのですが、鼻水、鼻づまりが続きます。友人が寒暖アレルギーと診断されたのですが、症状が似ています。寒暖アレルギーは初めて聞くのですが、流行っているのでしょうか。(30代・男性)」


A 「寒暖アレルギー」と診断されたようですが、実は医学書には、そういう病名はありません。しかし、「寒暖差アレルギー」とも呼ばれる症状が、マスコミなどで話題になっています。今年の春は、例年以上に、気候が不順でした。最高気温との寒暖差が20度も超えた日もあり、初夏の気候になったり、冬へ逆戻りしたりと激しく変化しましたね。この中で花粉症類似の症状が出ているとの報道がされ、流行っているとの印象を受けられたのでしょう。しかし、この症状は、流行する病気ではありませんし、アレルギーでもありません。

 変化の激しい気候の中で、特に冷え込む朝方は、くしゃみが連発し、鼻水・鼻づまりが続く事があります。これは寒暖差の影響から出てくる症状で、医学用語では、「血管運動性鼻炎」と言われています。これは、鼻汁などの鼻過敏症状が出るが、鼻汁好酸球などアレルギーテストは全て陰性であることから診断されるものです。又、花粉症と区別される症状としては、@急な温度変化やストレスで起きる、A体が、寒さなどの変化に慣れると収まってくる、B鼻炎症状だけが出て、涙など結膜炎症状は出ない点が花粉症と違うことなどです。

 「血管運動性鼻炎」は、副鼻腔炎(蓄膿症)があると出やすい事、ストレスや暴飲暴食・不眠症など生活習慣に関係している事、自律神経のバランスが崩れて出るようです。自律神経が対応できる温度差は、約7度と言われており、それ以上の温度差になると身体が適応できなくなる為です。

 対策ですが、@規則正しい生活やバランスのとれた食事を習慣付けて、自律神経を調整する、A寒暖差に対して、マスクで鼻と口を覆い喉と鼻の温度差を小さくする、B衣服をこまめに着がえて体温調節を心がける等が挙げられます。感染やアレルギーではないので、基本的に薬は効かないと思われます。