ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

四十肩の症状について

Q 「2〜3週間前から利き腕を上げると痛みを感じます。服の袖に腕を通す時やちょっとしたしぐさでも痛みを感じます。最初は、筋を痛めたのかと思ったのですが、四十肩じゃないかと知人に言われました。四十肩はどういった症状がでて、予防などを教えてください。(30代・女性)」


A 四十肩は、五十肩とも言いますが、正式には「肩関節周囲炎」という病気です。肩関節の周囲に炎症が起きて、痛みが出てきて、腕を前に挙げたり、内側へ捻ったりする以外の多くの動作がつらくなってくるのです。

 症状としては、髪を結う・エプロンを結ぶ・電車のつり革を握る・物を上に挙げる動作などができなくなります。腕の上げ下げなどで、肩痛が、時に激しく走るために、思うように動かせなくなってきます。診察時に、肩関節の前側(胸側)を押すと強く痛むのが特徴です。またX線検査では、骨の異常を認めません。経過は、半年から1年で自然に治りますが、長びくと2−3年かかることもあります。中高年に多く起こり、原因は加齢、生活習慣、けが等により、関節やその周辺の組織の炎症や損傷が起きてくるのです。

 治療は、痛みには消炎鎮痛剤などを使用します。痛みが強い時は安静にし、肩関節を温めるのが効果的です。熱いお湯に浸したタオルをしぼってビニール袋に入れ、それで肩関節を包むようにして温めると有効です。湿布薬の貼付も効果的です。それらの治療でも痛みが悪化する場合には、整形外科などで関節内注射を受けると、著効する場合もあります。急性期が過ぎたら、肩関節の可動域を少しずつ広げる運動療法なども行います。

 予防ですが、体によい生活を心がけることです。肩関節は年齢とともに動く範囲が狭くなりますから、普段から適度な運動を習慣にし、肩関節を無理しない範囲で動かすようにすることです。全身のストレッチ、ラジオ体操なども効果的です。

 また、肩関節周囲炎は、前兆として肩に違和感やしびれ感が出る場合があります。この症状を見逃さずに、起きてきたら肩関節を適度に動かしたり、温めることで、症状の進行を抑えるようにしましょう。