ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

ストレートネックと診断されました

Q 「仕事はパソコンでの事務作業です。肩こりが酷く、病院にかかったところストレートネックだと診断されました。最近こういった方が増えているとのことですが、なるべく症状を改善するため、普段の生活でできることはないのでしょうか。(30代・女性)」


A ストレートネックとの診断ですが、これは病名ではなく、首の姿勢につけられた形態名で、首の骨(頚椎)の並び方が、直線状になっていることを指します。首のX線検査で、通常は、前方(のど側)に出っ張る形に湾曲していますので、直線状態は、異常か正常か意見が分かれているのが現状です。

 ある調査では、健康成人の頚椎X線検査で、40歳未満の女性の3割が、ストレートネックか、後方に湾曲した形であり、20歳代の女性では、実に46%がストレートだったのです。これでは異常とはいえないという意見で、標準的な医学書にはストレートネックの記載はありません。この見解からは、特別の対策は不要で、肩こりなどの一般的な治療で良いと考えられます。

 一方、異常とする意見の医師もいます。通常、頚椎が前に湾曲しているのは、重たい頭を背中や首の筋肉で、効率的に支えているので安定し、首がスムーズに動く形なのです。これを生理的前湾(正常の前湾)と表現しています。しかし、長時間のデスクワークなどで、首が直線的になれば、筋肉の過緊張が続くことになり、肩こり・頭痛などが出てくると考えられているのです。

 ストレートネックの原因としては、良くない姿勢でパソコン作業をしたり、携帯・スマートフォンなど小画面を見ての細かい操作に熱中すること等だと指摘されています。首の前側にある筋肉が、過緊張で硬直し、両手のシビレや脱力を来たし、椎間板の弾力が失われ、ヘルニアや椎間板症を引き起こすこともあるとしています。

 対策ですが、携帯・スマホの使い過ぎの制限、パソコン作業を正しい姿勢で行う事、適宜休憩をとること等が必要です。そして適度な運動やストレッチで首に筋肉をつけること、その為の運動としては水泳を推奨する意見もあります。健康的な生活が一番ですね。