ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

耳鳴りが気になります

Q 「最近、耳鳴りが気になります。仕事中や寝るときなどに耳鳴りがあります。長く耳鳴りが続き、煩わしさを感じます。ストレスが原因ともいわれましたが、時間が経つと自然に治るものなのでしょうか。(40代・男性)」


A 耳鳴の患者さんは、当医院の外来でも結構みかけますが、他人にも聞こえる他覚的耳鳴と本人にしか聞こえない自覚的耳鳴とに分類されています。他覚的耳鳴は、血管性や筋性(筋レン縮によるもの)で稀です。多くは自覚的耳鳴で、明らかな音源は認められず、耳鳴自体の客観的な検査法もなく、80%以上に合併する難聴の診断をもとに原因を推察し治療することになります。

 原因は、中耳性・内耳性・中枢性などの病気です。中耳性は、急性・慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎等。内耳性は、突発性難聴・メニエールなど。中枢性は、聴神経腫瘍、脳血管障害などです。

 診断では、症状経過などの問診と聴力検査、画像検査等から原疾患を特定していきます。原因疾患の難聴が改善できれば、耳鳴りも軽快・消失する可能性がありますが、自然には治りませんので、耳鼻科を受診なさって下さい。

 治療法は、原因疾患の治療が優先ですが、原因が不明の場合は、根治療法はなく、対症療法が中心となります。苦痛を紛らわして、耳鳴に慣れる治療です。例えば、好きな音楽があれば、それを聴く事が有効な場合もあります。就寝時に小さな音で音楽を聴き、気を紛らわせて眠りにつくのもよいでしょう。カウンセリングなどで、耳鳴から受けるストレスの軽減も有効です。

 一方、薬物療法としてはビタミン剤や血流改善薬などが投与されます。耳鳴りによる入眠障害があれば睡眠導入剤を、また耳鳴りへの不安が強ければ抗不安薬も使用されます。しかしこれらの薬剤では、耳鳴りの消失は困難で、あくまで緩和治療です。また耳への麻酔薬の注射や電気刺激などの方法もあります。

 TRTという治療法は、耳鳴の苦痛が高い場合に選択される音響療法とカウンセリングの併用療法ですが、高度難聴の場合には適応がありません。

 このような治療法の選択にも、まず耳鼻科受診が必要ですね。