ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

尿モレや残尿感が気になります

Q 「私は70代(男性)です。最近、尿モレや残尿感が気になります。加齢によるもので治らないものなのですか、それとも病として治療ができるのでしょうか。また、予防などできるのでしたら教えてください。」


A 尿モレと残尿感の二つの症状が気になるとのことですね。この二つの症状が、一つの病気から来る場合と、複数の病気による場合とがありえます。

 70代の男性とのことで、一つの病気から二つの症状がきているとすれば、第一に考えられるのは前立腺疾患ですね。また、残尿感が来やすい点としては、まず思い浮かぶのが膀胱炎です。この場合は、尿漏れも伴うことがありえますが、勿論必ず出る訳ではなく、膀胱炎と尿失禁がおきる病気の合併と言うこともありえます。

 尿モレとは、医学的には尿失禁のことで、原因や診断、治療について専門は泌尿器科ですので、気になるような状態であれば、受診される事をお勧めします。また残尿感は、排尿したのにスッキリせず、膀胱に尿が残っている感じがする症状で、まず膀胱炎が疑われます。どちらも、泌尿器科の症状なので、専門の先生に診て頂く必要がありますね。

 さて、診察して頂く上でも、尿失禁を引き起こす病気をある程度ご存知の方が良いかと思います。尿モレ(尿失禁)の原因となる疾患としては、男性高齢者の場合は、@尿道膀胱障害(前立腺疾患、尿道狭窄、神経因性膀胱) A機能低下・移動能の低下・認知症(老化現象で、"トイレに間に合わない"、尿意を感じにくいなど) B脊髄・神経疾患(脳血管障害、パーキンソン、脊髄損傷など)などです。

 治療ですが、@では前立腺肥大が一番多いので、その治療(薬物治療・注射薬・高温治療・レーザー治療・電気メス治療・開腹手術など)が必要です、ABに対しては、行動療法(排泄介助・膀胱訓練・骨盤底筋訓練)、薬物療法などがあります。いずれにしても、正しい診断と、それに応じた治療が重要ですので、やはり泌尿器科専門医への受診が必要です。どうぞお大事になさって下さい。