ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

外反母趾です

Q 「20代後半の女性です。学生の頃から左足が外反母趾になり、最近では歩くと痛みがあります。足に負担がかからないよう靴には気を配っていますが、他に予防・改善法はありますか。病院にかかった方が良いのでしょうか。」


A 外反母趾は、足の親指(母趾)が、変形して内側(つまり小指側)へ向くように曲がる病気です。その結果、付け根が外側に反り出張ってきて、靴を履くと擦れて痛んだり、赤く腫れたりします。患者の9割が女性で、発生時期は、先天性・小児期・思春期および成人期があり、一般的に加齢とともに変形はひどくなります。病因としては、遺伝・素因などと、靴による影響があげられます。特に、ヒールが高い靴、つま先部分の狭い靴、堅い材質でできた靴の着用などです。

 進行すると、拇指の機能が低下して、第2指への負担が増加し、足底部に痛みをともなうタコが出来てしまいます。歩くたびに痛くて、さらに進行すると、拇指が下に潜りこみながら、第2指は、背側に脱臼し、ハンマー指変形となってしまいます。そうなると、背側にも痛みのあるベンチが作られてしまいます。

 予防ですが、@靴の指導として、関節内側隆起部を圧迫しないように、つま先部分が広く、柔らかい素材でできたヒールの高くない靴で、足型にあったものを選びましょう。A運動療法・体操療法としては、拇指の訓練とストレッチがある。イスに座って素足で「グー」「パー」を繰り返すとか、タオルを足の指で摘まみ上げたりする運動が有効です。

 治療としては@装具療法、第1と第2指間のセパレーターによる変形矯正、アーチを復元させる中敷き「足底板」使用で、足底痛は軽減します。A薬物療法、消炎鎮痛剤の外用薬(塗布剤)の使用。関節部に炎症がおき、痛みが強い場合は、速効性で鎮痛効果にすぐれた経口剤を使用。B重症の場合は、手術の選択もありますが、切った骨が固まるまで数か月を要し、その間、松葉杖生活となりますので、足腰の弱っている高齢者には大きな負担になります。

 外反母指でお悩みでしたら、整形外科医や専門の靴外来などにご相談下さい。